第3話 黄道十二神 3

「十二神の神々の皆様。私の名はアスターと申します。王よりこの戦いアナテマの進行役として皆様をサポートするよう命じられました。これより皆様は王と接触することは出来ません。何かございましたら私をお呼び下さいませ」


十二神に一斉に送られた手紙を開けると紙に書かれた内容を残像として現れたアスターが読み上げる。


「今回皆様が行う戦いについてご説明させて頂きます。皆様はまず自らの代わりに戦ってくれる代行者を捜さないといけません」


代行者という言葉に神々はそうなるだろうと予想していた。唯の神同士の戦いなら問題はないだろうが、黄道十二神の神同士の戦いだと人間界を消滅させかねない。そのため、自分達以外の誰かに闘わせる筈だと。


「この代行者を選ぶにあたって条件が一つだけあります。それは、必ず自らの星座を宿した人間の中から選ばねばならないということです。現在の人間の人口は約八十億にんです。そのなかで最も自分に近い人間を選び下さい。近ければ近いほど力が強くなります」


力とは何だろと疑問に思う十二神。


「では、これより戦いの説明に入らさせていただきます」


一枚目の紙から二枚目の紙へと変わる。


「この闘いは皆様も知っている通り生き残りを懸けたものです。この戦いの勝者は唯一人のみ。勝者が決まるまではこの戦いは終わることはありません。勝負の仕方は殺し合いでも話し合いでもなんでも構いません。大事なのは相手が負けを認めることです。負けた相手の神力は勝者に移行されます」


神力は勝者なものという言葉に十一神の目が変わる。


「但し神同士で戦いをするのは絶対に禁止です。もし闘ったら即失格とし、魂ごと消失してもらいます。最後に代行者が死んだら神も死に魂は消失します」


アスターの言葉に絶句する十二神。神と人間が生死を共にするなど有り得ないと。手紙を投げ捨てたり物に当たったりして怒りを露わにした。


「詳しいルールの内容は黒い封筒の中に入っております。それでは、代行者が決まりましたらお呼び下さいませ。期限は三十三日です。それまでに決まらなければ失格となりますので、注意してください」


書かれた内容が全て読まれると手紙は燃えて跡形もなく消えた。


十二神は一緒に届けられたもう一つの黒い手紙を開ける。




 1.神同士の戦いは禁止

 2.代行者を三十三日以内に選出する

 3.神と代行者、どちらかが死ねばもう片方ま必ず死ぬ

 4.勝敗は当人達が納得した上なら問題ない

 5.神と代行者の殺し合い以外の殺しは一切禁止

 6.代行者以外の人間に協力を求めるのは有り

 7.人間同士の殺し合いはあり

 8.残り半数になった瞬間から神力で殺し合うのはあり(但し代行者がすること)


 補足

  神と代行者の考え方が近ければ近いほど神力の力が強くなる



「へぇー、いいね。面白い」

「下らんな」

「相変わらず悪趣味の狸が」

「代行者を誰にするかが重要なわけということですか」

「これは僕達の勝ちだね」

「神殺しを合法にできるなんて、一度やってみたかったんだよね」

「はぁー、王も趣味が悪いですね」

「うーん、はやく始まらないかな」

「人間にも俺と同じ想いを抱く者がいるのか」

「皆可哀想に。最後に笑うのは俺だしね」

「さて、どうしましょうかね」

「…」


十二神の欲望が人類史上最も残酷な闘いの幕を開ける。

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