第12話 解放

西暦2030年5月5日 モルディア本島内部


「…」


 茂みの中で、クエンサーは静かに身を潜めていた。その視線の先にあるのは、公国陸軍基地の敷地。その回りでは、数人の歩兵がアサルトライフルを手に、歩哨としての任務を果たしていた。


 クエンサーは、HK417アサルトライフルの上部に取り付けたスコープで狙い、隣にいる兵士とともに引き金を引く。軽い破裂音はサプレッサーが抑え、直後に歩哨は鮮血をまき散らしながら倒れる。僅かな時間差はあったにせよ、その場に立っていた者達全てが倒れる。


「…クリア」


「総員、前へ」


 茂みより身を乗り出し、そして空中にドローンを展開しながら、バリケードの前へ進む。そして柵に手を触れ、呪文を唱えた。


「術式、解除しました」


「突入するぞ」

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