流通禁止の理由
研究の結果、「輸血すると、その血液を採取した時の感情も一緒に移る」ということが分かった。
例えば、「いやいや勉強をしているときの血液」を輸血すると「いやいや勉強をしている気分」になる、というものだ。
この研究結果は、まずは軍隊で採用された。闘争心の薄い兵隊に、闘争心が強い時の兵隊の血液が輸血された。
続いては医療の現場に。生存を諦めかけている患者に、強く生存したいと思う者の血液が輸血された。
年月が経って、ごく日常に輸血がされるようになった。「今日は気分が乗らないな」という日にカジュアルに。それが日常となった。
「穏やかに日向ぼっこをしている時の血液」「恋する女子高生の血液」「ひいきのスポーツチームが勝った時の血液」などは、特に人気があった。
社会は人間の集合で、人間は感情の動物だ。世の中は平和になった。問題の多くも解決した。
しかし大きな問題が発生した。「無謀が原因の事故が極端に増えた」のだ。これは統計上で発覚したことで、とある血液が絡んでいることは明確だった。
そして原因が究明され、以降この血液は流通禁止となった。その血液とは、
「好きな子の前で張り切る小学生の血液」
だった。
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