【ヤクソ・キュンメネン-要するに第十話-】意味のない時間稼ぎ VS 三日三晩のカレー☆彡【ヴァーレアンプナイネン・ルク-桃色の章-03-】

 少し考えた結果、やっぱり虫だらけの職場は嫌なのでお断りしたいと思います。

 精神衛生上やっぱりよくないですよね。

 それとやっぱりよくわからない悪の組織はダメだと思うんですよ。

 それに魔法少女なのがバレたら私が恥ずかしいだけかもしれないけど、悪の組織でバイトしてたっていうのがバレたら子供達がいじめられてしまうかもしれません。

 そんなことは許せませんよね。

「せっかくのお誘いですが、やっぱり虫ばかりの職場は精神衛生上良くないと思いますので」

 と、とりあえずこちらの意志を伝えます。

「ああ、そう。なら、こっから先は殺し合いの世界ですよぅ! クーネクネクネクネ!」

 ミミズさんは相変わらずクネクネとしてますね。

 それを見る限りはバイトとはいえお仕事の同僚としても失格ですね。

 じゃあ、お夕飯の準備もありますし、さっさと終わらせて帰りましょうか。

「では、あいさつ代わりに、ペルシカンヴァリネン・ヴァレフデュス!」

 とりあえずビームを放ちます。

 この呪文と変身の呪文だけは、頑張って覚えたので早口で繰り返し言うことが私でもできますよ!

 このバイトに必須ですので! 

 そして、戦いは先手必勝って奴ですね。

 人数が多いとそれだけ私が不利になるので、まずは確実に戦闘員さんを減らさせてもらいます。

 私が放ったショッキングピンクのビームは戦闘員さんの一人に当たり、ちゅどーん!って文字通りの爆発音とピンク色の爆発を発生させて辺り一帯を吹き飛ばします。

 遊歩道に穴が空いてしまいましたが、ぬいぐるみさんに言っておけば直してくれるので心配ご無用ですよ。

 それで四、五人の戦闘員さんを巻き込んで、戦闘員さんをただのアルミホイルに戻します。

「キィ! いきなり攻撃とはやってくれるじゃない!」

 ミミズさんがなんか言っていますが、敵なので私は気にしません。私はこう見えてお仕事には手を抜かないんですよ。

 大学を出てすぐ結婚して専業主婦してたので社会人経験ないですけどね。

 まあ、敵は成敗です! そしてお給金です! 手は抜きません!

「先手必勝ですので」

 そう言って次の狙いを決めます。戦闘員さんが固まっているところが良いですね。

「ふふん、随分とぉ、舐められたも……」

 と、ミミズさんが何か言っていますがお構いなしです。

「ペルシカンヴァリネン・ヴァレフデュス!」

 ちゅどーん! とピンクのビームが炸裂して更に戦闘員さんの数を減らします。

 さすがにそれでミミズさんも何かしゃべることをやめました。

 もしかして、私と何かしゃべりたかったのでしょうか?

 それは少し可哀そうなことをしました。

「ええい、あなた達、やっておしまいなぁさぁい!」

 やっと戦闘員さん達が襲いかかってきますがもう遅いですね。

「ペルシカンヴァリネン・ヴァレフデュス!」

「ペルシカンヴァリネン・ヴァレフデュス!」

「ペルシカンヴァリネン・ヴァレフデュス!」

 と、出来る限り早口で連続三回魔法の呪文を唱えると、三度のちゅどーんと言う爆発を持って、戦闘員さん達は全部アルミホイルに戻ってしまいました。

「何といぅ威力! しかし、しかししかししかし! 地中に潜ることが出来る、わぁたぁくしにはむぅりょぉくぅ!!!」

 そう言ってミミズさんはミミズらしく地中に凄い勢いで潜って行ってしまいました。

 確かにこれは私の弱点かもしれません。

 とりあえず、ミミズさんが潜っていった穴に、

「ペルシカンヴァリネン・ヴァレフデュス!」

 と、ビームを放っておきます。

 ちゅどーんと地中から聞こえるのと同時に、地面が少し揺れます。

 そうすると、ミミズさんが少し離れた地面から顔を出して私に言いました。

「あんたぁ! 血も涙もないわねぇ!!」

 けど、チャンスですね、と、私が視線を向けるとミミズさんはさっと地中へと逃げていきました。

 むぅ、参りましたね、帰って晩御飯の用意をしないといけないのに。

 パパさんがご飯作ると十中八九カレーになる上に、無駄に多く作るので、どうにか私が作りたいのですが。

 ですが、私はこのピンク色のビームしか魔法知りませんし、地中に逃げられるとどうしょうもありませんね。

 とりあえず穴に魔法を数発程ですが放っておきましょう。

「ペルシカンヴァリネン・ヴァレフデュス!」

「ペルシカンヴァリネン・ヴァレフデュス!」

「ペルシカンヴァリネン・ヴァレフデュス!」

 三回魔法を使うと、辺り一帯の地面にヒビが入るようになりました。

 これ以上は危険でしょうか?

 そして、かなり遠くの位置からミミズさんが顔を出します。

「ふふんだ、同じ手はくらわないわよ!」

 攻撃はやっぱり当たっていませんね。

 どうしたものでしょうか。

 と言っても私には一つしかできることはありませんし、要はあれですよね、もぐらたたきならぬ、ミミズたたきですね!

 次に顔を出した瞬間を狙えばいいだけです!

 地面の動きに注目です!

 けど、しばらく待ってもミミズさんは顔を出しません。

 そのまま数分は過ぎたと思います。

「あのー、もう帰ってもいいですか?」

 辺りにそう声をかけます。

 流石に土に潜ったままになると、こっちとしても困るんですよね。

「クーネクネクネクネ! わぁたぁくしぃの真の目的はあなたの足止めぇ! 他の魔法少女と合流させないのが目的なのですぅ!」

 ミミズさんは顔を出しませんが、ひび割れた地面からそんな声が聞こえてきました。

 なるほど。それで私とまともに戦うつもりはないわけですね。

「うーん、困るんですよね、こっちにも都合があるんですよ!」

 早くしないとパパさんが大量のカレーを作ってしまいます。

 美味しいのはいいのですが、パパさんがカレーを作ると大量に作るので、二、三日はずっとカレーになってしまうんですよ!

 飽きるんです! カレーとはいえ子供達も流石に飽きちゃうんですよ!!

「もし、このまま去るというのであれば、ここを通る何の罪もない人間を襲っちゃいますよぉ?」

 何てはた迷惑なミミズさんですかね。

 でも、まあ、それなら問題ないですかね? 子供達の通学路からも離れていますし。

「私はかまいませんが、そんなことしたら警察に突き出されちゃいますよ?」

「か、かまわない?」

 私の何気ない返事にミミズさんは、なぜか必死な様子で聞き返してきました。

 だって、自分には何にも関わりのない人ですよ。ならいいじゃないですか。

「ええ、先ほども言ったと思うのですが私はただのバイトなので……」

 バイトにそんな責任求められても困りますので、今日は帰りましょう、そうしましょう。

「ああ、はい……」

 と、ミミズさんが何とも言えない返事をしてくれました。

 私はそれを了承と取ろうと思うのです。

「では、今日はここまでということで私は上がらさせてもらいますね、お疲れさまでした」

 そう言って、私は笑顔で踵を返そうとしていると、

「いえ、いえいえ、そんなことぉ、許すとぉ思ってぇいるぅんですかぁ!?」

 少し怒ったようなミミズさんの声が地面から聞こえてきます。

 このまま会話すると私が地面と会話する人に見えちゃうのでやめて欲しいですね。

「もう、めんどくさいミミズさんですね。でも、そういえば青色ちゃんのところはもう倒したって連絡が来てましたね」

 そうそう、そんな連絡が来てましたよね。

 もう一度確認して…… 確かにもうこちらは倒したと書いてありますね。

 それに、もう一通通知が来てますね。

「え? 青色ちゃん? そそそそ、そんな、そんなぁばぁかなぁ? ありえませんよぉ?」

 私の言葉を聞いて、なんだかミミズさんが狼狽えてますね。

 青色ちゃんは頭ツヨツヨなので、一人でも余裕なんですね。

 私はミミズさん相手に大苦戦ですよ。地中に逃げられたら私じゃ成敗できないですからね。

「いえ、しっかりと連絡が来てましたので。今も確認しましたし。あっ、なるほど、それは名案ですね、流石青色ちゃんです」

 もう一通の方も目を通しましたがなるほど、流石青色ちゃん、えっと、青色ちゃんの場合はアクアちゃんですかね?

 赤色ちゃんの場合はルージュちゃんですね。私はローズピンクちゃん。かわいいですね。

 うん、これなら言いやすいし憶えやすいですね。

「え? なに? なにがぁ!?」

「私達の名前、難しんですが、それを後ろの名前、私の場合はローズピンクですね。青色ちゃんはアクアちゃん。そういう風に呼び合いましょうって提案が来てますね」

 流石青色ちゃんことアクアちゃんですね。それなら私も覚えれそうです。ルージュちゃんにアンバーちゃん。それと…… 緑ちゃんは何て名前でしたっけ?

「あっ、はいぃ? え? 青色のところには最強のマダムマンティスが向かったはずですがぁ?」

「青色ちゃん、ああ、アクアちゃんは頭つよつよですからね。勝つのは無理ですよ?」

 私と違って容赦もないですからね。

 アクアちゃんのところには、カマキリさんですか。ミミズよりはマシですよね。

「い、いえ、し、信じませんよ!」

 もう本当にめんどくさいミミズさんですね。

「まあ、事実ですので。そちらの計画も失敗ということで今日はお開きにしましょう。また時間があるときにでもお付き合いしますので、では~」

 そう言って、今度こそ私は踵を返します。

 さっさと帰らないと、カレー地獄が待っているんですからね。

「で、では、じゃなぁーい!!! 行かせはしませんよぉ!!!」

 次の瞬間、私の立っている地面が揺れたと思ったら、そこからミミズさんが現れました!




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