第18話 山盛り

「………………………………おなか、すいたわね。」


「……………………………………そだね。」


ベッドの上。

グッタリと、僕の胸の上に倒れ込んで囁く柚香さん。


責められ続けて、朦朧として、丁寧な返事が出来なくなっていた、僕。

友達感覚で、素の返事をしてしまった。

『そうですね』と言おうとして、言葉が出てこなかった。


僕の素の返事を聞いて、飛び上がるようにして起き上がり僕を見つめてくる柚香さん。

そのお顔は、嬉しいようなびっくりしたような、なんとも言えないような、笑顔だった。


「うへぇ、やっとタメ口聞いてくれた〜?」


「………………………………タメ口じゃ無いですよ、つい、ウッカリです!」


「ダ〜メですっ、これからは敬語禁止っ!」


無理っ!

でも、その笑顔を見ていると、リクエストに応えてもいいのかなとは、思うけど。


「わかった、ご飯にしようか。その前に!」


「何かな?」


「シャワーね。時間が無いから、エッチい事は無しね!」


「んっ、ブゥーッ、無しなの?」


「………………………………キリが無いから、無しだからっ!」



※※※※※※※※※※



柚香さんと手を繋いで、急いで朝食ビュッフェをやっているダイニングに向かう。

入場は9時半までで、ラストオーダーは10時の様だから、まだ余裕はあるかな。


テーブルに案内されて、オーダーメニューのオムレツを先ず頼んでからプレートを片手に料理を盛っていく。

一通り取って戻ってきたら、これでもかと盛ったプレートを持った柚香さんが戻ってきた。


「柚香さん?僕の倍ぐらい盛ってますね?」


「そうかな?普通だと思うんだけどな!」


「まあ、僕はお替りするけどね。一通り食べてから、美味しかったのを追加するから。」


まるで、スルスルと擬音を立てるように山盛りの料理を平らげていく柚香さん。

その小さな身体の何処にそんなに入っていくんですか?

もうお替りですかそうですか。

さっきと同じメニューですねいつもそうなんですかたまには違うメニューでもってこれで決まってるんですかそうですか。


僕もお替りのプレート片手にスープ皿も持って帰ってきたら、もう柚香さんのプレートは空だった。


これからデザートですかそうですか。

どんだけ入るんですかそのお腹の中には。


僕もたくさん食べる方だけど、完全に負けてるし!

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