アイドル志望はカートゥーンがお好き

 


 廿月はつきは駆けながら町の中で悠輝を探す。しかし見当たらない。

(……少し遠くまで行ったかもな。とりあえず。幻想奇譚トゥーンアクション


 彼は能力を発動させ、黒いインクのかたまりから、ゾウのエレフンが出現。


「あらら。どうしたの。はつきおにいちゃん。ぼく、これからおねんねするところだったんだよ」


「ごめんな。起こしちゃって。でも、今頑張ってくれたらちゃんとお昼寝してもいいから。エレン。いま映奏奇譚デュアルアクションできそう?」


「んー。ねむたいけど、できるよ」

「ありがとう。エレン。じゃいくよ。映奏奇譚デュアルアクション


 廿月はつきは、ゾウの子どもと合体し。顔に仮面マスク。肩にはマントを羽織っている。


「さて、いくか。エレン」

 銀髪の青年がいうと、彼の体から、エレフンの声が聞こえてきた。


「うん! ぼくがんばる!」

「えらいぞ。エレン。帰ってきたらお菓子でもあげようか」


「やったー」と絵本キャラの子象は喜ぶ。

 廿月はつきたちは悠輝かのじょたちの後を追いかける。


 その頃。悠輝ゆうきたちは、アニメの乗り物や能力を使って目的地までたどり着いた。


 金髪の女性達が乗っていたのはタヌキの形をしたタクシーだった。

 料金はタダで感謝の気持ちさえあればいつでも使っても良いのだ。


「ありがとう。タヌキタクシー」彼女は手を振りながら別れの挨拶をする。

「いえいえ、またぽんぽこちゃんのタクシーにご利用ください」


 そういうとタクシーは去って行った。


 場所は町から離れた自然豊かな山近く。辺り一面、森林で囲まれている。

 草木が茂っており、鼻孔にも土の臭いや涼しい風に当たった葉っぱの臭いが伝わる。


「この辺……でしたよね。黒墨くろすみさん」

「ええ。そうですけど、もう少し探さないといけないですね」


「想像してたよりも遠い場所にいるんですか」

「意外と道のりが長いですね。でもしばらく歩けばいずれ着きますよ」


「楽観的で良いですね。黒墨くろすみさんの旧友に会えたらオレちゃんは社長に報告します」

「助かります。ところで料金は……」


「はい、通常価格は──」

「お困りでしょうか。お姉さん方」


 気がつく悠輝かのじょ達の周りには黒服の男達が立っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る