第2歩 生徒会長失踪

 銃刀法違反とは、銃砲・クロスボウ・刀剣類を権限なく所持することなどを規制する銃刀法に違反する犯罪のことである。

 しかし、この場所はそのような法律は存在しない。むしろ、銃で武装する権利を保障している。

「民が武器を保有し、携行する権利は、これを侵してはならない」と定めているのだ。

 私は人々が日常的に銃を武装している光景を初めて目の当たりしたときは、腰がひっくり返るほど驚いた。

 だが更に驚いたのは、道端にある自販機やコンビニ、スーパーなど身近にある所で、弾薬や爆薬といった危険物を購入出来るということだ。


〈日記ノート生徒の不思議:番号001の①ページ〉より


 *    *    *    *    *


 ──私は一人の少女とエレベーターが来るまでの時間、扉の前で何を話そうか考えていた。

「あの……」

「はい、何でしょうか?」

「そう言えば、まだ君の名前を聞いてなかったよね?」

 少女は「これは失礼しました」っと一度頭を下げてから口を開く。

「私はこの学園都市、アース全体を管理している連合生徒会副会長の【たちばな美月】です。改めてよろしくお願いします」

 そんなこんなしてるうちに、エレベーターが来たようだ。

「どうぞ」

 私は美月に促されるまま、エレベーターの中へ入った。


 *    *    *    *    *


「では行きましょう」

 エレベーターから降りた私は美月の少し後ろを着いていく。すると、建物内に3人の声が響き渡る。

「一体全体どういうことなのっ」

「治安が……悪く……なって……。対応に……追われて……る」

「なにが起きているのか説明願えるかな? 説明出来ないのなら、今すぐに連合生徒会長に会わせてくれ。直談判しに行く!」

 私がたどり着いたエントランスフロアでは、何やら連合生徒会役員と3人の生徒たちの間で揉め事が起こっている……みたい?

「それをフロントの私に言われましても……。あっ! 副会長っ!」

「皆さん、どうしましたか?」

「副会長……どうしたも何も、ここ数日連合生徒会長が姿を見せなくなったせいなのか……」

「多数の自治区での……一部生徒の……暴動……」

「そして最悪のことにその暴動に乗じて『災厄の五人衆』が牢獄から脱走した」

「大変な事態になっているようですね」

「そうよ、だから連合生徒会長にこの自体を収集してもらうためにここに来たんだから!」

「……そう……だね……」

「さぁ、連合生徒会長から説明願えるか?」


 美月は一拍置いて3人に衝撃な一言を口にした。


「その肝心な連合生徒会長は────失踪されました」


「「「……はい?」」」


 3人は何を言われたのか理解出来ずに固まってしまう。

「あのー、聞き間違いかもしれないので、もう一度お尋ねしますけど……連合生徒会長は今どこに──」

「失踪されました」

 今度は間髪入れずに美月は3人に現実を突きつけた。

「「「ん? んーー……。んっ!?」」」


 3人は互いの顔を見合わせた後──


「「「えぇええええーーっ!?」」」

「ちょ、ちょちょちょ、ちょっと待って下さい!」

「今、トンデモナイ爆弾発言しなかったか!?」

「連合生徒会長が……失踪……。これが世間に出廻れば……この学園都市アースは……ジ・エンド……だね」

「お前はそんな不吉なことを言うんじゃないっ!」

「でも半分は間違っていない。今までこの学園都市全体を管理していたのは連合生徒会長だもの。それに圧倒的カリスマ力で、様々な人を虜にし多くの支持も集めていたわ。そんな人が失踪しただなんて、世間に知れ渡ったら……」

「じゃあ、この事態をどう収集するんだよー!」

「……いっその事……ここでみな……腹切り……。フフッ、フフフフッ!」

「それは止めろ」

「それは止めなさい」

 懐から刀を取り出し、嫌な雰囲気を感じ取った二人は切腹を止めさせる。

「む~んっ」

 腹切りを止められたことに、耳をぴょこぴょこと動かし、不機嫌になったことを二人にアピールする。

 その光景を見ていた私はなんだか懐かしさを感じた。

 きっと昔飼っていた愛犬が不機嫌になった際に尻尾ではなく、耳を動かしていた仕草を今した彼女の行動と重ねてしまったのかな。


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