第3話未来へと進む
曲の機嫌を取るために俺ら二人がデートをしていた日のことだ。
「娘娘からチャットが届いたよ。謝罪とこれからも関係を継続したい。許可を取りたい。そんな内容だった」
それに頷いて返事をすると夜景の見えるレストランで夕食を堪能していた。
「それと…海道さんからも…。迷惑メールかと思った…」
突然、芸能人からチャットが届いたとして…。
きっと迷惑メールだと思うだろう。
「でも内容が本人そのものだったから…驚いたけど返事したよ」
「海道も同じ様な内容だったのか?」
「うん。娘娘と同じ様な内容だったから許可したよ」
「そう。何から何までありがとうな…無理してないか?」
「全然。今日だってこんな良い所を予約してくれて…私こそありがとうね」
「とは言え…会計は曲に頼むんだがな…」
「そんなこと関係ないのよ。行動してくれたことが嬉しいんだから」
「そうか。そんな優しい言葉を掛けてくれてありがとうな」
「なによ…どうしたの?」
「何も?」
少しだけぎこちのない会話が続いたが、それもこの夜景や豪華なレストランの食事のスパイスとして昇華されていくのであった。
デートが終了に差し掛かった夜のことだった。
曲はレストランでお酒を飲んでいなかったため車を運転してくれた。
「今日も良い日だったよ」
意味深な言葉を受けて俺は曲の表情を伺うように顔を覗いた。
「なに?私…変なこと言った?」
「いや…そうじゃないんだが…なんか嬉しくてな」
「何が?」
「いや、不義理を働いている俺に優しくしてくれるんだなって…」
「当然でしょ?天は私だけの手には余るもの」
「そうなのか?」
「うん。独り占めなんてしてたら呪われるわ」
「そんなこと無いと思うんだがな…」
「そんなことあるのよ」
曲はそう言い切ると嬉しそうに車を運転していく。
二人して帰宅すると僕らは揃って風呂に向かう。
そのまま行為が始まって燃え上がるような一日が終りを迎えると過去に戻って何日目かの平穏を迎えるのであった。
ここから急激に月日は進んでいくのだが…。
曲は未だに持っていてはいけないものを所持していることはない。
過去に戻って数年が経過しそうな現在。
ハーレムには娘娘と海道白は未だに存在していた。
もう少し手を広げようかと強欲な自分が顔を出した時。
俺はあの模範囚のことを思い出していた。
何処かで会ったことのあるような、あの老人の姿が急に気になりだした。
あの老人は何処の誰なのか。
老人に伝えることを思い出して頭を悩ませた。
伝える手段が思いつかない。
ハーレム計画をもう少し見直しながら未来に向けてどの様に歩くのか考える。
本来の世界線であれば俺はとっくに捕まっている。
即ち曲が持っていてはいけないものを所持していたのは過去のことになっている。
未だにそんな物騒なものを持っていない曲に一安心するのだが…。
これからも用心することを心に決めるのであった。
元の世界線よりも先に進んだ…。
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