第14話 初めての魔物


『シド、シドは転生者で、職業が英雄なんだよね。この事は私たち以外知ってるの?』


『ギルドの僕の担当の人は職業が英雄だって知ってるけど、他の人には話てないよ』


「そっか、よかった。この事はもう他の人に言わないでね。色んな人がシドに興味示すから。やめてね』

イリナの目力だけでもわかる、自分のことを話すのはやめておこう。

『ああ、わかった』


『そう、わかってくれた。ありがとう……じゃ早速ダンジョンに行ってみよ』

いきなりイリナが提案してきた。


『あ、そうだね』

特にやることも見つからなかったのでダンジョンに行くことにした。



……ダンジョン入り口……


『銀貨一枚を』

ダンジョンの入り口に来た時に衛兵が僕に銀貨を要求してきた。

(やばい、手持ちがない)


『はい、シド』

小声でイリナが僕に銀貨を渡してきた。


『え、あ、ありがとう。衛兵さんこれで』

貰った銀貨を衛兵に渡した、


『おお、よし、いけ』

僕たちはダンジョンの中に入った。


……ダンジョンの中……


暗いトンネルを抜けるとダンジョンの通路らしきところに出た。


『よし、きたな』


『はい、そうですね』


『そう言えばなんで銀貨持っていたの?』

(さっきの銀貨の出所が気になる)


『え、必要になると思ったからここにくる前に人から盗んだの』


『え?』

(盗んだ?なんでそんな)

『どうしてそんなことしたんだよ。その人に迷惑だよ』


『どうして……て、シドも私もお金が無いわ、だから盗んだの、それにシド以外の人が困ってもどうでもいい。なんでシド怒ってるの』


『怒ってないけど、でも、人から盗むのはダメだ。イリナもう二度とそんな事しないでくれ』

(この世界では犯罪ではなくてもそんな事はしたくない)


『わかった。ごめんね、シド……私もう2度としないから。怒らないで』

イリナが泣きそうだ、少し言いすぎた。


『あ、うんそうしてくれると嬉しいよ。でも僕のためにありがとう。ごめん……』

僕が入場料金のことを忘れていたのが悪いんだ。イリナは僕のためにしてくれたんだ。怒るのはやめよう。


『あ、そうだ、イリナ。これからどっちに進めばいいと思う?』

話の話題を変えよう。


『え?あ、うん。右の方に2体魔物がいるわ。シド行く?』

イリナが答えてくれた。


『なんでわかるんだ?』


『私にはスキル<探査>があるの、見つけたい物がすぐに見るかるスキルなの』

(知らないスキルだな、まいいか)


『わかったそっちに行こう』



イリナの言った通りに右に進んだ。



(ガルルルルルル)

犬の威嚇する声が聞こえたと共に2体の黒い狼見たいのが出てきた。


『イリナあれは?』

『魔物です』


2体の魔物は僕たちをじっと見つめている。


(ガオオーー!!!)

2体同時に僕たちに飛びついてきた。


『うわわわわわ』

僕は驚きと恐怖で腰が抜けてその場で倒れてしまった。


(がしゅ!、がしゅ!)

『ん!』

僕の目の前に飛んでくる魔物をイリナが止めてくれた。

魔物はイリナの手に噛み付いている。


『私のシドに髪一本触れさせない』

イリナは苦肉の表情をしながらも守ってくれている。


『シド、その剣でこいつらを』

イリナが僕を呼んでくる。


怖い、



(有馬、行って)

アナの声が聞こえた気がする。それと同時に恐怖が消えていく。


『とりゃーー!!!』

(スパ)

気づいたら僕は剣で魔物たちを真っ二つにしていた。

『やった?のか?』



『痛』

イリナが壁に寄り掛って苦しそうにしていた。


『イリナ!!!』

明らかに辛そうだ。

僕はすぐにイリナの元に駆け寄る。イリナが死んじゃいそうだ。


『シド、ん!やったのね、すごいわ。ははははは、ちょっと、ん!自然治癒じゃ間に合わない、首かして』

そのままイリナが僕の首に噛みついた。それと同時に体からスーと力が抜けていく感覚がする。


『ありがとう、シド』

しばらく経ってイリナが首から離れてそう言った。


『よかった!!』

僕は思わずイリナを抱きしめた。


『え?!シド?』


『イリナ、生きてた。うん』

イリナが死ぬかと思った。


『シド……んは』

抱きしめたイリナが血を吸った傷口を舐め始めた。


『イリナ』

『シド、私のこと心配してくれたんだ嬉しい♡』

耳元でイリナがそう言った。





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