第8話 ギルドの店員さん

……心の中……


『お疲れ様。シドくん』

またさっきの真っ黒な空間に僕はいた。


『外に出れたね』

『あ、ありがとうございます。ルミナスさんのおかげです』


『ありがとう。でも、シドくんのおかげもあるわ』

笑顔でルミナスさんは答えた。


『でも、いえ、もういいわ、お姉ちゃんて言わなくても。でも”さん”つけはやだな〜〜せめて呼び捨てにしてほしいなー』

可愛く腰を屈めて上目遣いで僕にお願いしてくる。


『わ、わかった、ルミナス?』

顔がパーと熱い。やっぱりキスした相手だと気まずい。


『真っ赤になっちゃて。かわいい……ま、いいわ揶揄うのもこれぐらいにして。……ジトくん?これからどうする?わたしは外に出してもらったわけだし。一生ジトくんのそばにいてあげるよ。なにか私にしてほしいことある?』

((なんでもいいのよ……夢の中だから私の体を好きにしていいわ。それこそ、エッチなことでもいいの……身体観察でも、性奴隷でもなんでもいいのよ。どうせ私は現実世界には助言ぐらいしかできない。あなたに助けて貰った恩はそんなんじゃ返せないわ))


ルミナスは少しニヤつきなが僕を見てくる。

何考えてるかわからない。


『別に僕はルミナスにお願いなんてありませんよ』

何したら良いかわからない僕にお願いを作ることなんてできない。


『そっか、急にごめんね……』

少し、寂しそうなそんな顔でルミナスは答えた。


(何かして欲しいのかな……僕の素直な気持ち言った方が良いかな

?)

『あ、あのルミナスさん、実は僕、他の世界から来たんです……だからその。まだこの世界について全然知らないんです。あの……できれば、この世界について教えてください』

(正直怖い、他の世界から来たなんて信じてくれないかもしれない)



『え?他の世界?ん?あ、そう言う事ね。わかったわ。ありがとうねこんな世界に来てまで私を救ってくれて……』

僕の心配はよそに以外にもルミナスは冷静だった。


『で、この世界について知りたいんだよね。色々話す事あるけど何が良いかな』


(ルミナスさん信じてくれてよかった……まずは生活についてだよね)

『この世界での生活方法について教えてくれませんか?』


『生活方法か……ん〜〜私も200年ぶりだから間違ってるかもしれないけど、確実にあるのは農業で生計を立てるか、冒険者ね』


(農業はわかる、けど、冒険者てよく分からないんだよな、馬車での話をもっときちんと聞けばよかった)

『あの冒険者てなんですか?農業はなんとなくわかりますが』


『冒険者はね基本的にギルドで手に入れた街の住人からの依頼をするところよ。200以上前からある職業よ。とても楽しいわ』


(なんだかそんな話だった気がする。要は便利屋だな)


『あ、でも、花形の依頼はやっぱりダンジョンの探索ね。シドくんにおすすめの職業はやっぱり冒険者ね。この私が全力でサポートさせてもらうから安心して』


(ダンジョンか、確かアナは僕にダンジョンに行けて言ってた。今回は逃げてきたけど、また行けば僕のこと許してくれるかな)


『そうだねわかった。冒険者になるよ』


『本当!じゃ、早速、ギルドに行こっか』



……ギルド店内……


ギルド近くは酒屋が並んでいて騒がしかったが、ギルド内はそんなに人がいない。夜中だからだろうか?


『いらしゃいませー』

僕に気づいた店員がこっちに振り返って言う。

僕に挨拶してくれたのは茶髪ショートの若い女性店員だった。


『初めまして。ですね。私はギルド、ルーザ支部の店員をしております。アヤです。お客様は初めてのお顔ですが、新規登録ですか?』


『そうですね。新規?登録をしたいです』


『そうですか!!ありがとうございます!』

なんか急に嬉しそうにアヤさんが答えた。



『では、まずはお名前と。自身のレベル、職業、スキル、ステータスをこの用紙に記入してください』

アヤさんはそう言うと用紙を渡してきた。




『ふうできた』


名前:シド

レベル2

職業:英雄

スキル:女神の加護・英雄の心・創造者・不知者(HT:29)

攻撃値:40

防御値:40

俊敏:40

器用:40

知性:40

魔力:40

やっぱりHTは減っていた。他はなんの変化もない。


『ありがとうございました』

僕は書き終えた用紙をカウンターにいたアヤさんに渡した。


アヤさんは僕の書いた用紙に目を通し始めた。

『ん?…………はー。シドさん。ふざけないでください。大体なんなんですか?英雄て、あなたいい歳して子供ですか?。でもそんなことより。スキルの欄の創造者、て……超大魔法使いルミナス様のことバカにしてます?』

急にアヤさんが僕にゴミを見るような目で見てきた。怖い


『は、いや、でも。本当なんですが』

(女の人に睨まれるのが一番嫌だ、やばい、やらかしてしまった)


『は?!突き通すつもり?!私ねルミナス様をバカにする人が一番嫌いなの。そこまで言うなら。確かめてあげる。このゴミ』

そう僕に吐き捨ててカウンターの奥にある扉を開けて出て行ってしまった。


『え』

(どゆこと)




『やめてよ〜アヤちゃん〜私寝てたのに〜』

『良いから来るの。あんたしか鑑定眼持ってないでしょ』

『え〜アヤちゃん怒ってる〜やめてよ〜』

扉を開けてアヤさんが白い神官のような服を着た女性がきた。

神官服っぽいのに胸元がはだけている変な服だ。それに隣のアヤさんと並ぶと色々デカい


『ユリ!早くこの不届者を鑑定して!こいつ創造者のスキル持ってるてほざいてるの!』


『はーアヤのルミナスオタクっぷりには参っちゃうよ。しょうがないな〜よっこいしょ』

神官風の彼女がカウンターを乗り上げて僕の顔に近づいた。


『うわ』

『あ。ちょとー逃げないで』

彼女は両手でがっしと僕の頭を掴んだ。


『ん〜』

そのまま僕の目をじっと見つめてくる。空のように青い目と、彼女の息が顔にかかっていやらしい感じだ。


『え!?うそ!』

神官風の彼女がそう言って僕から急に離れた。


『すごいよ!この子……本当に創造者のスキルあるし、英雄関係の物もある!アヤどうやってこんな子見つけたの??』

神官風の彼女はアヤさんに唾がかかりそうな距離でそう興奮した感じで話していた。


『え、うそ、この子が……』

初対面でもわかるぐらいアヤさんは動揺していた。


『ねえ!君すごいよ!創造者と英雄のスキル持ってるなんて!』

僕に振り返ってそう神官風の彼女が言うと、前触れもなくカウンターを飛び越え、僕目の前に来て僕の片手をとって自身の胸の谷間に突っ込んできた。

『今君が触れているのは私、ユリよ、よろしく♡』


『うわ、何するんですか』

慌てて手を抜き取る。

さっきまでユリさんの胸の中にあった片手はほのかに暖かいし、少し蒸れてる。


『何て、挨拶。あ、あとこれ』

彼女は胸の谷間に手を突っ込み一枚の紙切れを僕に渡してきた。

『はい』

『うわ、なにこれ』


『これは私の家の住所。今夜会いましょ♡』



『ちょ、ちょっと!ユリ!何してるのよ!私のシドくんから離れてよ!』

『キャ♡』

アヤさんがユリさんを押しのけて僕の前にきた。


『あ、あの、シ、シドさ、くん。さっきはごめんなさい。その、えっと』

さっきまで勢いよかったアナさんとは打って変わって顔を赤くしながらモジモジ下を向きながら言ってきた。


『良いですよ。アヤさん。急に英雄だとか創造者だとか見ても疑いますよ』

(ルミナスさんは僕が転生者て言っても驚かなかったけど、ここではやめておこう。ステータスだけで驚かれてしまった)


『本当に、本当にすみません』


『アヤちゃんそんなんじゃ、シドくん許してくれないと思うよ。ここはパンツでも見せたり。そのちっぽけな胸でも触らせたら?』

『え?』

横にいたユリさんがアヤさんを見てニタニタ笑いながそう言った。




『ちょっとユリさん。それは別に、ん?』

ユリさんを止めようとした時には片手が掴まれた感覚と触り心地のいいほのかに暖かくて湿っぽい布の感覚がした。



気づいた僕はアヤさんの方を向く。そこには耳までも赤くして下をじっと見つめるアヤさんがいた。

彼女の視線の方へ行くと。僕の手が彼女のスカートの中に入っていた。


『う、ううシドさん』

すぐにわかった僕の手は彼女の下着に触れていた。


『う、うわ!ごめん!』

僕は慌てて手をどかした。


『シドさん』

涙目でアヤさんが僕を見てきた。







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る