断罪の探偵 3 腐乱研究所殺人事件

柊 睡蓮

第1話

【登場人物】


月影 一織(つきかげ いおり)♀

探偵コンビの妹のほう。今回はこっちが主人公。


水無月 純(みなづき じゅん)♂

Webライター。オカルト話が大好物であり、一織を誘った張本人。


フランソワ・オクトバー♀

大学1年生。父の研究所の謎を解くために依頼してきた。研究所を譲ろうとしているようだが…


佐竹 カンナ(さたけ かんな)♀

大学1年生。フランソワの友人。


松浦 葉月(まつうら はづき)♂

大学2年生。カンナの恋人。


如月 涼(きさらぎ りょう)♂

大学3年生。オカルト研究会のリーダーでもある。


伊丹 めい(いたみ めい)♀

大学3年生。オカルト研究会所属。


師走 大雅(しわす たいが)♂

大学3年生。オカルト研究会所属。


吉崎 彩月(よしざき さつき)♀

大学3年生。オカルト研究会所属。


弥生 竜二(やよい りゅうじ)♂

大学2年生。オカルト研究会の黒い噂の真相を確かめるためにやってきた。


【以下、本編】


私、月影 一織といいます。とある高校に通う高校二年生です。そして、私は今をときめく高校生でありながら、なんと探偵でもあるんです。高校生探偵といっても、薬を飲んで小学生になったり、じっちゃんの名前をかけたりはしないですけどね。


そんな私は、こんな奇妙な噂を耳にしました。なんでも、山奥の研究所では人造人間を作り出すための実験が行われているとかいないとか。


そして、同じ噂を聞きつけて、私の家、すなわち探偵事務所にやってきた人がいます。その人の名前は水無月 純(みなづき じゅん)。インターネット上でオカルトな話題の記事を書いている人です。


たびたび来るので、私たち家族と彼はもはや顔見知りと言っても過言ではありません。そんな彼から、ある依頼がきました。


純「一織さん、例の噂、知っていますよね」


一織「例の噂?あの人造人間がなんとかってやつですか?」


純「そうそうそれそれ。話が早いの助かるわー」


一織「でも、あれただの噂ですよね」


純「はぁ、これだから現実主義者の探偵は…」


一織「喧嘩売ってんですか?買ってあげてもいいですよ」


純「ちょっ、ごめんごめん、謝るからさー」


私はあまりこの人が好きではないんですよね。デリカシーがないんでしょうか。依頼だから仕方なくついて行くだけで、プライベートでは絶対に会いたくないです。


純「んで、ここからが本当に重要なことでさ」


純さんはこう言いました。


純「俺、その研究所の関係者っていう人から調査頼まれたんだよ」


一織「調査?」


純「そうそう。あ、高校生の君には荷が重いかー。とりあえず、明日その人連れてくるから。それじゃ」


馬鹿にすんな、これでも探偵やぞ。調査ぐらいやってやりますとも。あの人どっか行っちゃったからそんなことも言えなくなっただけで。


しかし、怪しさがすごい話ですね。人造人間を作り出すというのも小説とかでしか聞かない話ですし、ましてやその研究をしていた研究所の関係者がいるなんて、疑わしい話です。


次の日になって、純さんと、もう一人、ハーフっぽい女の人が来ました。


フラン「初めまして。アタシはフランソワ・オクトバー。君の名前は?」


一織「私は…」


純「僕は水無月 純です。宜しく、お嬢さん」


フラン「あなたの名前はもう覚えましたから…」


この人何のためにここいんの?ナンパ?


フラン「それで、君の名前は?」


一織「私、月影 一織です。よろしくお願いします、フランソワさん」


フラン「こちらこそよろしくね、一織ちゃん」


どこかの純さんと違って優しそうな人で安心しました。そして、挨拶を済ませたところで本題に入りました。


一織「ところで、今回の依頼ですが…」


フラン「そう。フラン研究所っていうところで、ちょっと調べてほしいことがあるの」


一織「調べてほしいこと?」


フラン「その研究所、アタシのパパの研究所だったんだけどね、パパが半年前に病気で死んじゃって…」


一織「それは、ご愁傷さまです…」


フラン「そのことはもう大丈夫なんだけど、実は、変な噂が流れてるの」


純「それが、例の人造人間の話だ」


フラン「パパ、家にあまり帰ってこなかったし、どんな研究していたのか話してくれなかったから、この目で本当かどうか確かめたいの!」


一織「なるほど、そういうことですか。でしたらお任せください!私がビシッと解決してあげますよ!」


純「解決って、別に事件は起きてないからな?」


一織「………ッ!わ、わかってますよそのぐらい!今のは例えです!」


フラン「ふふっ、じゃあ、よろしくね。水無月さんに、スケジュールとかは教えておいたから」


一織「はい。それじゃ、また今度」


恥ずかしい思いもしましたが、こうして私はフラン研究所に行くことになりました。しかし、人造人間の研究ですか…。フランソワさんのお父さんは、もしやマッドサイエンティストという類の方なのでしょうか?


あれ?だとしたら二つ返事で着いて行かない方がいいのでは?万が一これが嘘なら私が人造人間に…




…………いや、案外ありか?

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