4-1

「んー…今日は雨が降りますねぇ…」

ルカは空を見上げてため息をつく。


「仕方がないなぁ、今日はここで1日あの子たちと…」

と呟いた時だった。

その子どもたちが、走って飛びこんできたのだ。

しかし、今日は2人…。


「先生!!!!」

「どうしたんです?」

子どもたちの、ただならぬ声に、ルカもわずかに緊張した声になる。


「リアが発作を起こした!!!」

その答えにルカはわずかに血相を変え、立ち上がった。


3人の中で、体が一番弱いリア。

彼は発作持ちであった。

普段はそんな素振りも見せず、皆と同じように過ごしているのだが…


「容態は?」

「意識はあるけれど長く続けば大変だって…」

「医者は何と?」

「それが…」

「今、島を出ていて…いないんだ」

その言葉を聞いてルカは、こぶしにあごを乗せ、しばし考えこんだ。


「わかりました、薬草があれば大丈夫だったはずです、取りに行ってきます」

その言葉に子どもたちが顔色を変えた。


「せ…先生、だったら、おれたちが山に入ります。だって、きっと雨が…」

「だからです」

ルカは、遮って言った。


「君たちよりは足が速いつもりですよ。

雨の前に帰ってきます。

それに、雨が降っても小屋までは迷わずに行けますから」


そう言いながら、ルカは雨具を準備し、出かける支度をしていた。

「先生…雨は……」

深刻そうに、そう呟いた。

ルカは、しゃがみ、2人の目の高さになって言った。

「心配しないで。薬草を取ってすぐに帰ってきますから。」

2人の頭をポンポンとなでて出て行った。



「旅のお兄さん……」

いつもは3人いる子らが、今日は2人。

サザビィの店にいるシオンの元へ何か思い悩んでいるような顔でやってきた。

「ん?」

「今日は雨が降る」

「そんな雲だな」

シオンが空を見ながら答えた。


「先生は、今、僕らの仲間のリアのために山に薬草を取りに行ったんだ」

シオンは黙ってその子の話を聞いている。

「リアは先生ほどじゃないけど、少し体が弱くて…その薬になる薬草は山にしか生えてなくて」

「それを取りに行ったのか」

子らは頷いた。


「先生は、一人で大丈夫って言ってるけれど…雨に降られたら先生の方も持病が出てくるんだ…

最悪、山で倒れる可能性もあって…

そうならないためにも、お兄さん、先生の後追って行ってくれない?」

「僕らが追いかけていった方がいいんだけれど…僕らよりも、先生よりも足速いでしょ?」

その子は、本当に心配そうな目をしていた。

「ルカの持病はそんなに深刻なものなのか?」

シオンの問いに、重々しく頷いた。

「先生は……」


その説明を聞き、シオンは真顔になった。

「山はどっちだ?」

「この道をひたすらまっすぐに行けば、山に入る」

と、一つの道を指差した。

「よし、まっすぐだな」

シオンは、その道を走り出した。





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少年がシオンに語った内容は次回か、次々回に!

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