第33話

「ここの部屋が医務室です」


 医務室の前で、立ち止まる兵士。


「はい

入っても大丈夫ですか ??」


 ボクが、確認すると、


「すいません

全員は 入れないです

人数をしぼってください」


 最初は、ボクだけだったが。


「あっ わかりました」


 ティファが、すまなそうに言う。


「ボクは 絶対お見舞いしたいです」


 あの、日本刀に付いていた赤い玉。

 レセアが持っているジュレルの色ちがいに見えて仕方ない。

 たぶん、アレを取りにあの島まで行ったのだ。


「アタシも ナンシーの様子を見たいわ」


 友達想いのティファ。


「2人は決まりね

ザイルピックは どうするの ??」


 エミリーが、そう聞くと、


「おれは 2人から聞ければイイや

エミリーは ??」


 ナンシーを、そこまで知らないので待っていると言うザイルピック。


「わたしも それでイイわよ」


 スゥトゥーパを、チラッと見るエミリー。


「うん わかったわ

スゥトゥーパは ??」


 スゥトゥーパに、水を向けるティファ。


「あたし ヒューと一緒がイイの!」


 真っ直ぐ、ティファを見るスゥトゥーパ。


「そう言うと思ったわ」


 エミリーが、肩をすくめる。


「ありがとうエミリー」


 譲ってくれた、礼を言うスゥトゥーパ。


「それじゃあ 中に入ろうか」


 中に、入るのは3人。


「うん」


コンコン


 ドアを、ノックするティファ。


「入りますよ」


 ティファが、そう言うと、


「どうぞ」


 中から、女性の声がする。

 ドアを、開けて入ると女医がイスに座ってこっちを向いている。


「あのー

レセアの容態はどうでしょうか ??」


 ボクが、女医にそうたずねると、


「よく眠っているわ

軽い脱水状態だったから点滴をしたらかなり回復してさっきまで話をしていたわ」


 どうやら、意識は戻ったみたい。

 少し、一安心。


「………よかった」


 ホッとするティファ。


「どうしても レセアに聞きたいことがあるんですが」


 そう、女医に言うと、


「うん 起きたらにしてもらえるかな ??」


 まだ、無理は出来ないみたい。


「………それでイイです」


 納得して、レセアの寝顔を見る。


「それなら 目をさましたら わたしが知らせに行くわ」


 起きたら、教えてくれるみたい。


「はい お願いします」


 それなら、1対1で話せそうだ。


「戻ろうか ヒュー ??」


 ティファが、うながす。


「そうですね」


 目線を、レセアから外す。


「しかし すごい装置だったわね」


 部屋に、戻るとあの寒い空間の話でもちきりだ。


「あんなモノを秘密裏に造っていたとは」


 さすがの、技術力だ。


「しかし どうするよ ??」


 ザイルピックは、一人真剣な顔をしている。


「どうするって なによ ??」


 ティファが、つっこむと、


「あんなモノを見ちまった以上あれだけ口止めされたところで誰かにしゃべっちまわないか ??」


 兵士には、固く他言無用とクギを刺された。


「アタシは 大丈夫よ」


 ティファは、ケロッとしている。


「同じく 大丈夫」


 エミリーは、ほくそ笑んでいる。


「おれも大丈夫だって」


 ザイルピックは、ワナワナしている。


「ヒューは大丈夫 ??」


 ティファが、聞いてくる。


「………もちろん大丈夫」

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