第37話:in 沖縄。

沖縄便は午後一便。

列車は時刻通り、近隣の駅について、そこからタクシーで空港まで走ってもらった。

予定取り遅れることなく、僕たちは沖縄行きの飛行機に乗った。


僕は飛行機の経験はあるけど、凛ははじめてだったらしい。

飛行機が離陸するとき、凛は「わっ」って小さく声を出した。

体がふわって浮いたみたいになる感覚に驚いたんだろう。


思うんだけど、CAさんってなんでみんな、あんな不自然な笑顔なんだろう。

もっと自然でいいと思うけど・・・。 違和感ありありじゃん、って思った。

どうでもいい話だけどね。


飛行機は約2時間くらいのフライトで沖縄の上空にいた。

時刻は5時すぎ。

少し日が傾きかけていた。


飛行機が沖縄の上空を旋回してる間、 窓から沖縄の島と海が見えた。

上空から見る海と沖縄は、まじで綺麗だった。

僕も凛も、そんな綺麗な海を肉眼で見たことなかったから感動した。


「わ〜〜綺麗」


飛行機からの高さだともう怖いとは思わなかった。

凛はしばらく窓から離れなかった。

なんて綺麗なんだろう。

これだけでも沖縄に来た価値があると思った。

きっとだけど僕も、凛も上空から見た沖縄と海は忘れないと思う。


飛行機が那覇空港に着陸して、最初に思ったのは暑いってことだった。

5月でも、けっこう暑かった。

湿気がないぶん空気がカラッとしてたから影に入ると暑いけど爽やかって感じ。

もしかした湿度の高い本土のほうが暑いのかもしれない。


僕はすぐにタクシーを拾った。

そこからホテルまで約30分ほど、どこまでも続くさとうきび畑を抜けて景色が

パッと視界が広がって、そこに立派なホテルが建っていた。


「沖縄残波岬ロイヤルホテル」


旅行の間、僕たちが泊まるリゾートホテル。

できたばかりらしい。

どうりで綺麗なホテルだ。


「わ〜すごい立派なホテル〜、すごいね〜」


凛は綺麗で大きなホテルが気に入ったようだった。

ほんとは沖縄と言えば万座ビーチなんだろうが予約が取れなかったのだ。


旅行会社の人は「リゾートなら残波ロイヤルのほうがいいかも」

って言ったので、お任せしたが正解だった。

ホテルに到着して、しばらく部屋でくつろいだ。

披露宴と旅の疲れもまだあったし、それに観光に行くにはもう日が

暮れかけていた。


ホテルの窓を覗くと綺麗なプールと海が見えた。

ホテルのプールから海へは歩いていけるようになっているらしく、プールの

向こうに黄昏に染まった綺麗な砂浜と海が見えた。

初めて見る沖縄の海・・・素敵なビューが広がっていた。


次の朝、朝食を取った僕らは、さっそくプールに行ってみた。

プールに入るのなんて、いつからだろう?

地元の市民プールが出来たとき、何度か行ったかな。

凛とは海にしか行っていなかったから、プールなんてほんとに久しぶりだった。

眩しい日差しと清々しい空気感が、なんとなくリゾート地に来てるんだって

雰囲気だった。


結局、ホテルの居心地が良かったせいで、観光にでかけたのは、美ら海水族館

だけだった。

結局三日目からは最終日までずっとホテルから出なかった。

ホテルにはゲーセン・卓球・ビリヤード・カラオケ・ボーリング 宿泊客に

飽きさせないだけのアミューズメントが揃っていて、客に飽きさせないように

なっていた。

だから一日そこで遊んでいられた。


遊び疲れたら部屋で気の済むまで、ふたり仲良く寝たり好きなだけエッチした。

あとはプールに入って、そこから歩いて、毎日海に出た。


何度散策しても飽きない白い砂浜。

どこまでも続く綺麗で透明な海。

そこで夕日が落ちるまで、好きな飲み物を飲みながら砂浜のサンベッドで

過ごした。

飲めるんじゃないかって勘違いしそうなくらいの沖縄の海はこれから

もしかしたらテレビでしか見ることはできないのかなって思った。


こんなところでプロポーズされたら、絶対イエスだよな〜って思った。

そう思った僕は凛に言った。


「どんなことがあっても、ふたりでがんばって幸せになろうね」

凛は満面の笑顔で僕を見て「ねっ」って応えた。


凛とはいろんな場所に行って思い出を作ってきたけど、もしかしたら

この沖縄が一番の思い出になるかもね。


「来てよかったね、沖縄・・・」


凛は感慨深げにそう言った。

僕もこんな素敵なところに、凛と来られて忘れられない思い出を作ることが

できてハッピーな気分だった。

黄昏て行く夕焼けの日差しを浴びて凛は僕の方にもたれて静かに夕焼けを

眺めていた。

僕は心の中でもう一度、凛にポロポーズした。


「一生、僕だけの天使でいてください」


って・・・。


つづく。


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