第41話 いつものお姉様

ルナが目を開けると、そこは一面が花に覆われた美しい公園だった。




花のアーチやドームなど、様々な花に関連したオブジェクトが置かれている。




ルナ「サヤさん…これはどういうことですの…?」




足元にある花を見つめながら、言うルナにサヤは微笑んで…




サヤ「ルナ様のお帰りなさい会です!」




尚更混乱して、訳がわからなくなるルナ。




ルナ「私はずっといましたけど…お帰りなさい会というのは…?」




「私も参加しています…!」




草影からもぞもぞと誰かが出てくる…




ナーガ「お姉様、今日は特別な日なんです!お姉様がもう苦しまなくてよくなる日ですよ!」




ルナ「ナーガ?私が苦しまなくていいって、どういうことなの?」




ルナの手を取り、目を見て話すナーガ。




ナーガ「お姉様、今までごめんなさい。私、何もわかっていなかった…お姉様が後継ぎという使命に縛られていることも、そのせいでどれほど権力にすがっていたかも…」




ルナ「……どうしてそう思うのかしら?私はあなたをいじめていた。助けたいだなんて思わないはずよ?」




ナーガ「違う…!」




涙を流しながら、ナーガは話し続ける。




ナーガ「私、小さい頃のお姉様が大好きでした。いつも優しくて、よく本を読んでくれた…あのお姉様が大好きです。でも成長して、お姉様は後継ぎとして育てられ始めた。娘ではなく、女王になる者として…」




ナーガの思いに、ルナも涙を溢す。




ナーガ「お姉様は変わってしまった…権力に支配され、大好きなお姉様はいなくなった…!」




座り込んで泣き始めるナーガをルナが抱きしめる。




ルナ「ナーガ…ごめんなさい…私はおかしくなっていたわ…お父様が…権力が絶対と思っていて、逆らえなかった…!怖かった…!」




ナーガの顔を上げて、おでこを合わせて言う。




ルナ「でも、もう違うわ。あなたのお陰で、私は目を覚ましたんだもの…いつものお姉ちゃんに戻るわ…!」




ナーガ「お姉様…大好きです…!」




二人はまた出会った。




十数年の時を経て、再会したのだ。




ルナ「ナーガ…一つお願い事を聞いてくれるかしら?」




ナーガ「はぃ…!」




ルナ「ありがとう…お願いなんだけど…ここの花を一緒に見て回ってほしいの。小さい頃みたいにね!それと…サヤさん、この機会を設けてくれてありがとう…前は酷いことしてごめんなさい。」




サヤは首を振る。




サヤ「いいえ、ルナ様の幸せは私の幸せですの!私も、ナーガ様とルナ様の関係が修復されて嬉しいですわ!」




ルナ「…本当に、お優しいのですね…感謝してもしきれない…では、また後でお会いしましょうか。」




その後、二人はゆっくり花を見て回った。




ルナ「このお花、王宮にも咲いていましたわ。」




ナーガ「本当ですか!?王宮に戻ったら、また見に行きたいほど綺麗です…」




心からその時間を楽しんだ二人は、また昔のように戻っていた。

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