第18話 処罰

リナ「…なんで…なんで私を見てくれないの…?」




自問自答を繰り返す。




リナ「レド様がいなきゃ…私もう…!」




リナは廊下で泣き崩れた。






一方、レドはサヤを探して校内を回っているところだった。




レド「リナが知っているということは…リナに関係する場所か?調べてみよう…!急げ!」




廊下を駆け抜け、リナの自室へ向かう。




本来は男子禁制の女子寮だが、今はサヤの命が危ない。




レド「頼むから無事でいてくれ…」




部屋には鍵がかかっていたが、体当たりして強引に開けた。




すると…




レド「この扉は何だ…?」




聖女の力によって出現した扉を見つけ…




サヤ「レド様…うぅ…」




扉の中からサヤのすすり泣く声がした。




レド「サヤか!?今行くからな!」




扉を開けると…




サヤ「…レド様…?どうしてここに…幻ですか…?」




問いかけるサヤに返事をする。




レド「俺は正真正銘、レド・ナーリアだ。サヤ、待たせて悪かった…」




サヤ「本当にレド様ですの?…私、もう会うことはないと思って…ふえぇ…」




泣きじゃくるサヤをなだめながら、脱出方法を探す。




レド「大丈夫だぞ、サヤ。俺はここにいる。檻にはどうやって入ったんだ?」




サヤ「上から手が伸びてきて、それに掴まれてここへ…具体的な方法はわかりません。」




レド「聖女についての伝承でも…聖女を打ち破る術は書いてなかったしな…」




外せないか檻に触れようとすると…




サヤ「レド様!檻に触れては駄目です!怪我を負います!」




間一髪のところでサヤが止めた。




レド「そんな仕掛けまで…どうやったらここから…」




キラッ




レドの手がまばゆい光に包まれる。




まるで聖女の力のように。




レド「これはなんだ…?暖かいなにかを感じるが…」




サヤ「私には覚えがありますわ!これは王族しか使えない究極の力では…?私、昔話で見たことがあります…王族には眠れる力があり、真の願ったときのみそれは使えるとか…」




レドはそっと檻に触れる。




暖かい光が檻を包み…消えた。




二人は眩しさに目をぐっと閉じる。




しばらくして…二人が目を開けると…檻は消えていた。




サヤ「レド様…檻が…」




口を開いた時にはレドはサヤを抱きしめていた。




レド「よかった…本当に…!」




サヤ「レド様…泣いてますの…?」




レド「…そうだよ…君がいなくなるなんて、考えもしなかった…もう離れないで…」




サヤ「私も、もう二度と会えないと思って…レド様、私はあなたを愛しております…!」




レド「…俺も愛してる…ずっとずっと、サヤだけを愛してる…!」




二人はそっとキスをした。




固く抱きしめあい、二度と離れないと心に誓った。




リナ「…あんたのせいよ…!全部…」




ぶつぶつと何かを呟きながらリナが迫る。




その手には…ナイフ…




リナはサヤをめがけてナイフを振り上げ、走ってきた。




グサッ




ナイフが刺さり、ポタポタと血が滴り落ちる。




リナ「そんな…!レド様…!!」




サヤを庇い、レドが刺されたのだ。




レドは倒れる。ドクドクと血が地面に溜まっていく。




レド「腹…か…」




リナ「レド様!しっかりして…こんなつもりじゃ…」




サヤ「…リナ様、聖女の祈りを使えば…レド様を助けられます…どうか…」




頭を下げ、懇願する。




サヤ「私の命など、どうなされてもいい…レド様を…レド様を助けてください…!」




リナ「私があなたに死ねと言っても、あなたは聞くの?」




サヤは頷く。




サヤ「私の命の処罰などどうでもいい!レド様を助けて!」




リナは祈った。




どうか、レドが助かり…一生サヤと共に国を繁栄させられるように…




自分からは聖女の力を剥奪してもかまわない…




そうリナが願うと…




リナの体から聖なる光が抜け、レドの体に入っていき…




レドの刺された傷は消えていった。




レド「っっ…サヤ、無事か…?」




サヤ「私のことなどどうでもいいのです…レド様…生きていてくれて本当にありがとうございます…!」




レド「リナ…君の処罰は重い。わかっているな?」




リナ「承知しております…どんな罰でも、私は受け入れます…二人の仲を引き裂き、殺害しようとしたことは、一生をかけても償いきれません…」




サヤ「リナ様、レド様を助けていただきありがとうございました…」




再びリナに頭を下げる。




リナ「サヤ様はお優しいのですね…でも、私は罪人です。あなたは頭を下げてはいけない。もう、聖女の力は宿っていません。ただの小娘です。」




二人を見つめ、リナは頭を下げた。

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