第11話 繋いだ手と手

サヤ「あの絵本とてもよかったですわ!お姉様。」




ヴィクトリア「そうですわね。サヤ…うふふ…かわいいですねぇ…ほっぺをもちもちしたいわ。」




そう言い、サヤのほっぺをもちもちする。




サヤ「わっ、やめてくださいよぅ…」




そこへ…




レド「あ…二人とも、やっと居た…あんまり食堂とかで騒がないようにな。あとサヤに話があって…」




サヤ「わ、私ですか…?」




レド「その…少しだけでいいから、話したくて…」




お互い顔を赤らめる。




ヴィクトリア「あら、私はお邪魔ですわね。それではサヤ、明日から指導をしていきますからね!失礼いたしますわ。」




そう言って、ヴィクトリアは退散してくれた。




二人きりになったサヤとレド…お互い少し気まずい空気になる。




レド「あの…婚約のこと…で…今日はいい機会だと思って言いに来たんだ。」




サヤ「はい…なんでしょうか…?」




レド「前にも言ったけど…ぼ…俺はサヤのことが本当に好きで…小さい頃からずっと…その…意識してた。何する時にもサヤの顔が浮かぶし…そのせいで集中できないときもある。」




一人称を変えて、レドは言った。




サヤ「うふふ…私もですわ…」




レド「だから、これからは婚約者として振る舞ってほしいんだ。未来の王妃には君がなってほしいと俺は思う。誰よりも人のことを考えてくれる、サヤにな。」




真っ直ぐとした眼でサヤを見つめる。




サヤ「私はただ…世話を焼いているだけですわ。私がやりたくてそうしているだけで…」




レド「君は誰よりも優しい。小さい頃から俺のことを…婚約者と認めてくれないのも、俺のためだと母上が教えてくれた。」




サヤ「はい。私はレドに相応しくなかったので…」




レドは微笑む。




レド「'なかった'過去形だね。今はどうかな?」




サヤ「あっ…今もそうですわ!相応しくないですの!」




レド「本当にそうなのかな?俺はそう思わないけど…きっと周りの人も。誰より君が優しいことを知っている。」




サヤの髪を耳に掛け、顔をあげる。




レド「耳が赤いよ?どうしたのかな?」




サヤ「な、なんでもないです…レドが好きということ以外…」




レドは周りに誰も居ないのを確認して…




レド「サヤ、目瞑って…」




サヤ「?はい…」




そっとレドからキスをする。




サヤ「へ?え?ちょちょちょ今!キ…ス…!?」




脳内が爆発し、赤面する。




レド「いきなりで申し訳ないけど、ずっとしたかったんだ…」




レドも少し耳が赤い。




サヤ「レ…レド…その…婚約者であること…私…嬉しいのです…レドが私を…好きでいてくれていることも…私がレドを好きなことも…!」




胸のうちを明かす。




レド「認めてくれたってことでいいかな?そうしたら毎日会いに行くよ…それでもいい?」




サヤ「もちろんです…!私からも…会いに行っていいですか…?」




上目遣いするサヤにレドの心臓が高鳴る。




サヤを抱きしめて…




レド「いいぞ…毎日会って、毎日こうしたい。はは…公衆の前では駄目だがな。」




サヤ「そうですね…それは控えないと。これからは気持ちをおさえるのが大変ですわ。」




二人は笑って手を繋いで、廊下を歩いていった。

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