詩集「虚空ノ戒律」(完)

不可世

第1話「僕の現実」

長く闇にこもりすぎた

もし光に手を伸ばしてしまえば

すさんだ自分が浮き彫りになりそうで

また今日も闇に浸った


心音は生きろと怒鳴るように

うるさいほど響き


だけど今更前を向いた所で

忌々しい僕は邪険にされるだけだと

拒絶し


そうして未来に希望も見い出せず

死にたいと日増しに強く思うようになり

いつでもとどめを刺せるように

ナイフを握っていた


もう誰にも見えない姿になって

宙を舞いたいと

自由になりたいと思うが


生きてる限り

僕に転機は来なく

死ぬほか道が見えず


出来上がった現実を

変えることも出来ず

ただ今日も死にたいと

そうつぶやき


ナイフにまた少し力がこもった

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