第6話 珈琲を飲む

「ヘックチン、ヘックチン……」

「部長、風邪ですか?」


 何時もの様に部室でまったりしていると。麗奈部長がくしゃみをしていた。


 バカは風邪をひかないと言うが部長はバカでないのか?


 私がジト目で見ていると……。


「何だ、その態度は!失礼な妄想をしているな」

「いえ、昔からの教訓として、季節の変わり目は気を付けろとの事です」

「ああ、初夏だから、突然、暑かったりするからな」


 別にバカは風邪をひかないですか?と問うてもいいのだが。もし、部長が本当にバカなら困るからだ。


 さて、そんな事はどうでもいい。私はインスタント珈琲をマグカップに入れて電気ポットからお湯を出す。


 う~ん、インスタントな香りだ。最近は珈琲も高くなって昔の様に美味しい珈琲が飲めなくなったのだ。などと、マイナスな事を思いながら珈琲を楽しんいると。


「ヘックチン」


 部長が私に近づいてきて物欲しそうにしている


「どうした、部長?」

「私も珈琲を飲みたい」

「これ、私の私物ですよ」

「だから頼んでいる」


 これは悩むより慣れろの言葉が浮かんだ。私は渋々、インスタント珈琲を手渡す。


「おおおお、不味い珈琲が飲めるぞ」


 不味いのは認めるが何かカチンとくる。


「部長、タバスコと混ぜると美味しいですよ」

「そうか、試してみるか……」


 私はたまたま有ったタバスコを手渡す。そして、部長がタバスコ入りの珈琲を飲むと幸せそうだ。


 やはり、バカは風邪をひくらしいと実感した日々であった。


 その後、部長の麗奈さんの風邪が悪化した様子なので早退を提案する。


「確かにバニーガールの姿では風邪に良くない」


 麗奈部長は制服姿では極度の陰キャラになるのだ。こちらとしても制服姿でウロウロされると面倒だからだ。麗奈さんは奥にあるカーテンの中に入ると制服に着替える。


「お、お、お先に失礼します」


 うむ、陰キャラだ。


 麗奈さんが帰った後に、何処からか、テラさんが現れる。


「珈琲を飲んだの?」

「ああ、麗奈さんとな」

「私も飲む!!!」


 仕方がない、私は私物のインスタント珈琲を手渡す。そうだ!試しにタバスコを進めてみよう。


「テラさん珈琲にタバスコを入れると美味しいですよ」

「それ、私のタバスコなの、たまたま有ったからと言って変なこと言わないで」


 失敗か……普通は珈琲にタバスコは入れないからな。


「それより、砂糖はないかしら?」

「ない、私はブラック派だ」

「ケチ、妖精は甘い物好きと決まっているでしょ」


 だから無いモノは無いのに何をぬかすかこのバニーガールは……。


「砂糖が欲しい!!!」


 まだ言うか、ここは甘い飴ちゃんを取り出す。すると、テラさんは上機嫌になり飴ちゃんと一緒に珈琲を飲むのであった。


 ホント、ここのメンバーは癖が強いな。

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