健全、バニーガール部にようこそ!

霜花 桔梗

第1話 バニーガールに勧誘される。

 私はこの青空北高に入学して丁度、一年にあたる。今は四月の新入部員の介入で正門は賑やかで、皆、必死であった。


 私は帰宅部を選び、改めて部活に入ればよかったなと思うのであり、後悔していた。正門で勧誘する呼び声に目をそらしていると。


 何か飛んでいる。


!!!


 トンボの様な羽の生えたバニーガールだ。


「あれ?見えてる?」

「はい……」

「なら、このバニーガール部に入るといい」


 すると、私の手持ち鞄を拾い上げると校舎の中に入って行く。


「ちょっと、待ってよ、鞄を返してよ」


 私は直ぐに追いかけると空飛ぶバニーガールは演劇準備室に入って行く。


 さっきの空飛ぶバニーガールはこの部屋に入って行ったわね。暗い演劇準備室は開かずの間で有名であった。


 ギギギ、重い戸を開けると……。


 バ、バ、バ!!!


 私をスポットライトが照り付ける。そして、部屋が明るくなると。クラッカーがパン、パンと鳴る。


「おめでとう、新歓の始まりだよ」


 たわわな胸に透明な肩掛け、網タイツにキワドイ腰ラインの姿のバニーガール姿の三人の女子生徒が抱きついてくる。


 ああああ、胸が当たっている。


 これは男子なら大興奮ものだな。しかし、私は健全な女子なのでたわわな胸は羨ましいのであった。


「赤のバニーガールはリーダの証。君、名前は?」


 黒髪ロングの女子が、そう言うと私の名前を問うてくる。


「『小野寺 小夜』です」

「私はバニーガール部のメンバー『糸菊麗奈』」

「『工藤星美』」

「『可採智子』私達と、この小さいのがバニーガールの妖精のテラさんです」


 えーと、黒髪ロングが麗奈さんでショートカット外はねが星美さんでポニーテールが智子さんと……。


「あ!そんな事より鞄返して!!!」


 私が思い出した様に言うと鞄が渡される。これでこの異空間から脱出できる。と……思うが。


「はい、あなたのバニーガールの衣装よ」


 黒い布にタイツにハイヒール、うさ耳まである。


「えええええ、恥ずかしいから嫌です」


 私はバニーガール部に入ると決めたわけではない。バニーガールの妖精のテラさんに部室に連れてこられたのだ。私は納得して部室を出る。


 さて、ホームルームまでの時間が無い。ここは素直に教室に向かおう。


 そして、ホームルームが始まると。


「注目、留学生を紹介する。『テラ・アスディール』さんだ」


 それはフロンドの髪にブレザーの制服を着たテラさんであった。


「えへへへへ、来ちゃった」


 隣の席の女子に変わって、テラさんは笑顔で横の席に座る。


「その席がいいのか?」

「はい」

「では、席替えとしよう」


 なんか上手く行きすぎ、これも妖精の魔力であろうか?


 うん?


 改めてテラさんを見ると……。


 うわわわわ、テラさん可憐さに驚くのであった。

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