………

「……はぁ…」

「申し訳ありませんね…姉が連れて行くと言うので…」

「俺も暇じゃねえのによ…」

「フラガラッハ様…でしたっけ?」

「そうだけど?エリー姫さん。」

「貴方神剣なんだってね?」

「まぁね…」

「そんなのに仕えるなんて大変ね…」

「ホントだよ…暴力じゃ一歩的にボコられるし…敵と判断したら見境なく皆殺しにしていくし…俺でも止められねえからな…」

「フラガラッハ。お前帰ったらまた沈めてやるからな。」

「悪かったから辞めろ。」

「……もしかして…フラガラッハ様よりエンフォールド様の方が「強いよ。間違いなくね。」

「神剣だってねじ伏せちゃうくらいには強いよ。多分魔族も…殺してたわ…」

「魔族まで?」

「うん。そこまで強くはないけど…」

「魔族一人に騎士団を動かしても討伐できるかどうかですよ…」

「そんな弱いの騎士団?」

「隣国の騎士と比べられると…確かに弱いですが…」

「ちなみにどこで育ったのよ?あんた?」

「うーん…名前知らんけどなんかとんでもねえ深さの洞窟があって…んで黒い羽付きトカゲとかいて…」

「……もしかしてあの黒竜が変死を遂げた理由って…」

「ああ。俺が殺した。」

「……冗談キツいわよ…」

「これがその証拠だよ。」


俺の腰巻きに使われていたウロコの一枚を持って来たらしい。


「これって…」

「本物よ…魔力の密度が半端じゃ無いわ…」

「にしては柔らかすぎたけどな。」

「レベルはおいくつで?」

「96740。」

「きゅ…9万…」

「上限は99のはず…」「それがこいつの一族上限は無いんだってさ。」

「まぁそういう事だ。舐めた口してると殺されるぞ。」


矢が馬車の天井に突き刺さった。


「敵襲か。」

「めちゃくちゃ落ち着いてるわね…」

「これは…ゴブリン辺りの矢だな…」

「分かるの?」

「まぁこんな粗削りの矢を好んで使う奴らゴブリン辺りの知能の低い奴らしかいないからな。」

「ほら。見えてきた。」


緑色の肌のゴブリン達が見えてきた。

俺は馬車の扉を開ける。


「この距離行けるか?」

「何する気?」


俺は胸元から一本のナイフを取り出した。


「お前ここで使うのそれ?」

「ああ。小物程度なら問題無く貫通できる。」


それをノーモーションで投げる。


ゴブリンの頭に突き刺さる。ヘットショット。


「一撃必殺…ってね。」

「奥見ろ奥まだいるぞ。」

「面倒くせえな…」

「フラガラッハ力を貸せ。」

「心得た。」


フラガラッハが剣になり手に収まる。


『フラガラッハ 形状統一』


地面から大量の刃が生えてゴブリンを串刺しにする。

フラガラッハは人形に戻った。


「凄い…」

「だろ?これくらいの芸当神剣なら朝飯前よ。」


そうして扉を閉める。席に戻る。

そうして約5分後…


「着いたわ…ここがポイントよ…」

「見るからに狩り場だな。」


目線の先にはオークが沢山!全部屍にしてやる。


「んじゃ…殺すか。」

「お手並み拝見させてもら


地面がえぐれる音がしたあとその場に強い衝撃が走り当の本人はというと…


「まずお前から血祭りに上げてやる。」


巨体を軽く持ち上げ別の巨体にぶん投げる。

剛速球。まさしく砲弾。


「ストライク!」


まとめて薙ぎ倒していく。

魔法は身体系魔術以外使えないから殴る以外できん。

故に…


「セイッ!」


カカト落としで頭を潰す。


ワンパンキル。いや…ワンキックキルってとこか。


『闘争の侵食』


身体が赤い紋様ができて闘争本能が湧き上がる。

謎に攻撃力が上がる。


「殴りが結局一番強い。」


全力で殴ったら何も残らん。

故に多少手加減がいる。


「喰らえ!空気弾!」


空気を圧縮し放つ。という荒業によりオークの身体が消し飛んだ。調整失敗。


「あっちゃ…」


オークが血眼になって襲いかかってくるが…


「遅すぎて話にならんな。」


隙しかないのでその肥えた腹に打撃を叩き込む。

やっぱ残らんかった。


「弱すぎて話にならんなぁ…」


魔石も全部粉にしちゃったし…


「しょうが無い…フラガラッハ。」

「あいよ。」


フラガラッハが剣になり手に収まる。


オークが魔法を放とうとしている。氷塊がこっちに飛んできた。


のでぶった斬りそのまま刀身を伸ばし真っ二つ。


「フロストショットだっけな…カナが使ってたやつだな…」


そんなこんなでぶっ殺して回ってたらいつの間にかボスクラスが。


「塵になってた。」


塵になってた。マジで。消し飛んでた。


「流石脳筋パワー極振り野郎…」

「パワーに極フリはしてねえよ!7割振っただけだ!」

「脳筋じゃん…」


実際やった事は力任せにフラガラッハを振り回すだけで塵塵の塵になってしまった。


「斬れ味だけは凄いよなお前…」

「まぁ伊達に神剣やってないっての。」

「俺にボコられる?」

「石鹸の味知ってる?」

「知ってる。」

「食ったことあんのかよ…」

「うん。」


なんか事故で口に入った事がある。不味かった。


「……何かこっち来てる。」

「そうか?……視線がこっちに刺さってるな。」


……翼と尻尾…そして…あっ…あれサキュバスだ。殺そう。


「死ねェ!」


そこら辺の針葉樹をへし折り真っ直ぐぶん投げる。


俺は目を疑った。


「あいつ…すり抜けてやがる!?」


そのまま避ける動作もせず死んだかと思ったら木がすり抜けて飛んでいってしまったのだ。


「マジかよ…」


このままこっちに来てやがる…一直線…

いや…狙いは…


「フラガラッハ!お前だ!お前が狙われてる!」

「……」

「フラガラッハ?」


ボーっと見つめて……目がとろんと崩れ…て…

コイツ魅了かかってやがるw嘘だろwww


「さて…っちょ!こっち来んな!」

「良いだろ?な?俺ら殆ど幼馴染みたいなもんだろ?」

「良くねえからな!力強…」


まぁこういう時の対象法は安定の…


「オ”ル”ァ”」


全力でぶん殴る。


地面に深く突き刺さった。


「はっ!あっぶね!魅了に掛かりかけた…」

「掛かってんだよバカ!」


そうして地面からぶち抜く。


「あら?その子の魅了もう解けちゃったの?」

「俺が無理やり解いた。」

「馬鹿力ね…」

「お前もそうしてやろうか?」

「試してみる?」


答える間も無く殴る。


が…


「やはり貫通するか。」


頭に俺の腕が突き刺さっている。


バックステップで距離を取る。


「あれ殺せるか?」

「全身消し飛ばすレベルの火力が必要だ。」

「多分一点に集中したら貫通するよな。」

「だろうな。」

「詰んでるくね?」

「魔法は使えねえしな…」


どうしたものか…


「広範囲を風圧で消し飛ばす。」

「そんな事したら姫さんらまで消し飛んじまうだろ!?」

「じゃあどうする?」


残る魔力じゃ1秒も持たない。また倒れたら今度こそ食われる。


「そうね…あの御方からしっかりと堕してきなさいって言われてるし…」

「俺に魅了は無効だ。諦めて死ね。」

「そうみたいね?でもお連れ様はそうじゃないみたいよ?」

「フン!」


頭にチョップをぶちかます。

正気に戻ったな。


「直し方ァ゙!」

「治りゃぁ良いんだよ治りゃ!」


暴力で解決できん問題はあんまり無い!


「貴方一筋縄ではいかないわね…」

「まぁな。」

「そうね…じゃぁ貴方の心を覗いて見ようかしら?」

「へっ!覗いてもこいつは暴力の事しか考えてないぜ!「やめろ。」……」

「やめろ。」

「おい…どうしたんだよ?お前らしく無いぞ?」

「心を覗くな。」


フラガラッハが目の当たりにしたのは、恐怖を移す目だった。それは自分でも出来ない事だった上に見るのも初めてだった。自分より圧倒的に下位の存在に自分が手も足も出ない奴が怯えている。


『それじゃ見させて貰おうかしら?』


徐々に粒子状となったアイツが身体に入り込んでいく。


「やめろ!入ってくるな!」


入って来るなァ”ァ”ァ”ァ”


段々と最初の威勢が薄れていく。


「ああ…やめろ…「バカ!」」


自分で自分を破壊しようとする。だが自己再生で内臓を破壊してもすぐ復活する。そのたびに自分を殺そうとする。


「もうやめろ!それ以上やるな!「離せェ”!」クソっ!止まれ!」


腕を掴まれても尚半狂乱になって自分を壊そうとする。


「止まったか…」


暴走して自分を破壊する事はなくなった。

一体どうしてここまで心を覗かれたくないのだろうか。


「大丈…お前…泣いてんのか?」


声が届かない。というよりすり抜けている。


「……とりあえず親父のところに持ってくか。」


姫様をほっぽり出し自宅まで運んでいった。


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