第7話

「おう、おつかれぇ」


「はい、お疲れさんです。」

なぜか大学生は疲れてないのにお疲れというあいさつを多用する。


「なんかパチンコで大きいの当てたらしいやん??


俺に奢るとかどんな風の吹き回しよ。」





「まぁ清水も当てた時飯奢ってくれてるし、金ない時に単発のバイト紹介してくれたり、それなりに感謝してるってことだよ。」

そう、この清水親分気質なところがあるというか、

宵越しの銭はもたねぇを地で行くような男で、よく人におごりたがる。

気風のいい男なのだが、粗野ではなく、どことなく育ちの良さを感じさせるところがある。

そういったところがどこかの政治家をほうふつとさせるが、学内で知り合いも多く、

なかなかに顔が広いやつなのだ。





「あら、珍しかやん?


まぁそう言うことでしたら遠慮なくしゃぶしゃぶでも行きますか。」

清水の目が怪しく光り、容赦のないことをいう。





「高級すぎるとこは無しでよろしく」




そんなやりとりをしながら2人で難波の方に繰り出し、大学生にとっては少しお高めの肉料理屋に向かい、友好を温めた。


そのあとは清水がお返しとばかりに霧島を連れてガールズバーに向かい、店員の女性にめんどくさい絡み方をする清水を見て笑いながら楽しい時間を過ごした。






2人は帰り道の電車で、どの教授の授業は単位が楽だとか、来年のゼミはどこにしようだとか、くだらない大学の日常を話しながら帰っていった。




その帰り道で、清水は私の腕に光る金の腕時計に気がついた。




「お、それロレックスやん?どうしたん?

しかもアンティークのオニキスデイデイト。」




「あぁ、これね。まぁ知り合いの人から譲り受けた。ダメ元でくださいってお願いしたら、もう古いし新しいの買う言い訳になるからって言いながらくれたんだよ。」

どうやら私のロレックスはデイデイトと呼ばれるものらしい。


アンティーク市場でもかなり人気で、近年価格の高騰が著しいらしい。

価格は怖くなるのであえて聞かなかった。




「かぁーー!うらやましかーー!!デイデイトもらうわ、パチンコ当てるわ、なんなん!?」






清水もたいそううらやましがっていた。


ここで、変にへりくだると、くれだのなんだのと、めんどくさいことになりそうだなと思ったので




「いや、言ってみるもんやね、ほんまに。


このおかげで、いろんな運が回って来てる気がするんなよなぁ〜


もう俺の宝物だわ、絶対誰にもさわらせん。」



というと

これには清水も同感のようで、触らせたら運が逃げるからやめとけと言っていた。






清水にはこれが良い刺激になったようで、俺もいろんなことに行動的にあたろうと抱負を口にしていた。






そうこうしているうちにお互いの最寄駅に到着し、それぞれの帰路に着いた。




家に着いた私は、明日は競馬でも行ってみるかと思い風呂に入りスマホをぽちぽちいじりながら寝落ちした。


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