第8話 鶺鴒(セキレイ)

 マルメイソンは坂を転がった。飛んでいくのに疲れたのだ。いつもうきうきしていないと、飛ぶとき抵抗が大きくなる。

 鶺鴒がせっせと広場を駆けて行く。小川沿いの広場には、いつもは散歩している人がいるのに、今日は誰もいなかった。

 鶺鴒に聞いてみると、変な銀色のぴかぴかした人間達が、首のない者を並べて歩かせているところを見たという。その場から動かないタイプの胴体だけ、置き去りにされているようだ。

 マルメイソンの胴体は行方不明なので、連れて行かれたに違いない。鶺鴒に礼を告げ、マルメイソンは胴体の列が去っていった方角に向かって転がった。

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