茶番の終わりと始まり

 ようたい耀ようほくにんは、ちかくまでちゅうさがまわったが、アラハバキをけられず、どもたちえをあずかりにた、おりうんてんするワゴンしゃそうぐうする。

 ワゴンしゃにはつだいでかおる一緒いっしょっており、くるま一緒いっしょかえことになった。

 のだが……


 ろくにんは、すうキロさきぞうばやしちる、ひかりとながぼしもくげき

 ワゴンしゃでそのしょかうことめる。

 しばらくしてとつぜんひかりとながぼしちたしょちゅうしんに、ちょっけいすうキロほうはじしろたいじゅあらわれ、ろくにんるワゴンしゃめるかのように、そのたいじゅどうを、かくようむすぶ、はん透明とうめいかべせいせいされ、ようたちおどろいた。


みんなて!」


 こえで、おりがいじょしゅせきほうく。

 すると、のネックレスにいている勾玉まがたまかがやいていた。


ふたとも、ボクたちのも!」


 こんほくうながされ、ようたい耀ようぶんたちっているアクセサリーのような物に目をける。

 すると、それぞれのものおなじくかがやいていた。


 そのちょくおりう。


「おまえたちいたよ!」


 それとどうに、ワゴンしゃぞうばやしまえまる。


  ガチャ

   ウーン ガン


 ほくちんもくなかスライドドアをあらけ、くるまいそいでりてぞうばやしはしってったので、それをたい耀ようようあわててう。


て、ほく!」

「おい、おまえってくれ!」

「ちょっとアンタ、おち!」


 おりほくたちをそう怒鳴どなったあとしゃないのこったかおるかってたずねる。


たちはどうするんだい?」


 するとすこかんがえてから……


「……わたしく!」


 とへんかえし、くるまりてようたちってく。

 いっぽうかおるほうは……


わたしってます…… はい」


 とへんかえしたので、おりかおるう。


「そうかい、じゃあアンタはっといで」


 そうってくるまからおりは、かおるにわざとこえるようひとことつぶやく。


「まったく、まどかならわれさきしてくんだけどねぇ……」


 ぶん祖父そふまえわれ、かおるはんしゃてきことかえす。


「そうわれましてもこわいモノは…………!」


 が、おりぶんまえってることき、あわてておりく。


ってください。やっぱりなにって……――」


 しかしおりかおるし、さきにワゴンしゃったってってしまう。


なにゆうどうされてるがしますが……)


 かおるはそうかんじながらもおりいかけるけつをし、ワゴンしゃした。


 いっぽう、いちはやくるましたほくまえには、アラハバキとアマテラスの姿すがたった。

 たおれているアマテラスに、はくどうけんけているアラハバキは、かげかくれて太北ほくほうくとう。


「またったなぞう……」


 ほくはアラハバキのことおどろく。

 そんなほくて、アラハバキはほほんでいる。


(やばい、かった!)


 そうおもっているほくに、アラハバキはクスクスわらいながらう。


がおまえねがいか、しゅしょうことだな」

なんのこ……――」


 反射はんしゃてきにそうかえしたほくは、うしろからられおどろく。


「うわ!」


 おどろいてくと、そこにはおこってたい耀ようた。


なに鹿やってんだおまえは、げるぞ!」


 そうたい耀ように、アラハバキはほほんでう。


「そっちのぞうは、さみしがりやのようだな」


 するとたい耀ようも、はんしゃてきにアラハバキのことかえす。


「そんなことは……」

「おい、ふたとも!」


 やってようほくたい耀ようにそううと、こんようかい、アラハバキは鹿にしたさまう。


こんぞうは、なやさそうで鹿っぽいな」


 そのことおこったようは、かんじているあんわすれるため、アラハバキにちからづよかえす。


なんだよ。へんかっこうをしている、おまえわれたくねぇ!」

「フフフ。せいだけはようだが、こころそこあんえるぞ……」


 アラハバキはほほみながらようにそうかえし、ようこころかんじてかんがえる。


きょうしていないとことは、はずどおりにことはこんでいるとこと……)


 アラハバキはさくせん上手うまってることかいし、ようたちさんにんかってう。


「そうえば、まだってなかったな。かいほうしてくれてありがとうしょうねんたちわたしあまほしがみのアラハバキ。ゆめごうがみ

「やっぱり……」


 ほくがそうつぶやくと、アラハバキはクスクスわらほくことかえす。


ちゅうじんでなくてざんねんだったな。いや、ちゅうじんか……」


 アラハバキは、ようたちうしろからいておりかおるもくし、アマテラスにせんもどしてアマテラスにう。


「アマテラス、おまえおもしろいモノをせてやろう…… ちからせ、てんみずかがみ!」


 そうってつきかかげたアラハバキのひだりてのひらから、ひかりがそらはなたれる。

 そのひかりは、つきかがみたて反射はんしゃしたようどうり、ほんかくそそいだ。 


 ひかりがほとんどの神々かみがみふうじたこといたアマテラスは、おどろいてごういんけられているはくどうけんかわし、アラハバキにつかる。

 そしておおごえう。


なにかんがえているの。そんなことをしてしまっては、このくには!」


 しかし八咫やたつばさうしなったアマテラスのこえは、人々ひとびとにはこえい。


「さぁ、そろそろたいからりてもらうぞアマテラス」


 そうってアラハバキははくどうけんて、アマテラスを羽交はがめにすると、けるようちからづよく、かいける。


けぇ、八百万やおよろず神々かみがみよ! はアラハバキ、はいればなんじねがかなえてやろう。さぁこえこたえ、もとつどえぇ!」


 すると、何処どこからともなくみっつのひかりがアマテラスのまえらいし、そしてひかりはだいかたちえてく。


 ひとつはしろうでむねまえんだ、くろ刺青いれずみしろうろこはだいんしょうてきな、しろはんズボンにへきいろこし姿すがたの、ようよりすこがらしょうねんに。

 ひとつはあかおにめんけ、あかかりぎぬ姿すがたせいねんに。

 ひとつはしろつばさつ、くろかおをしたはなたかてんに。


 おにめんせいねんはアマテラスにかってう。


はつかる、そしてさようなら……」


 何所どこからか出現しゅつげんしたづちにぎめ、おにめんせいねんはそのこぶしをアマテラスにけると、呪文じゅもんとなはじめる。


「テーラ、メタル、アグア、アルボール、イグニス!」


 そしてじゅもんいながら、うでひだりうえみぎしたうごかしたあとづちうえほうげた。

 おにめんせいねんさけぶ。


「トニトゥルース!」


 そらづちこんじきかがやし、らっしてくるづちつかんだおにめんせいねんは、づちでアマテラスのむねたたきながらさらさけぶ。


「ウィータ!」


 するとアマテラスは、きょうれつひかりとともに46cmほどせいどうせいこんじきかがみわった。

 アラハバキはそのせいどうきょうひだりつと、けんたちほういてう。


たせたなにんげんたちいまにんげんにはせいどうきょうなどめずらしいのてあろうな」


 クスクスわらいながらアラハバキがそうあいだに、おにめんせいねんたちようたちほういた。


「さて、つぎわたしふうじたそのじゅぶつたち。まずはスセリのまがたまを、そこのむすめともどもってくれる!」


 そういながらアラハバキがにゆっくりちかいてたので、ようちかくのえだってちふさがりう。


「てめぇ、ちかくんじゃあねぇ!」

「ほぉう。あんよりじょうまさるとは、さっきの鹿はつげんしてやろう。だが……」


 アラハバキはそうってみぎようかざす。

 そしてそのげていくとどうようがってった。


はなせ、このろう!」


 そういながらあばれるようだが、如何どうにもい。


ちかららんな……」


 そううアラハバキを、たい耀ようほくどうえだなぐろうとするが……


「「てゃー!」」

!」


 アラハバキのはっしたしょうげきようなもので、ようともどもべつさんほうこうばされる。

 さんにんはそのしょうげきさけぶ。


「「うわぁぁぁぁ!」」


 ばしたさんにんが、さいおそってことかくにんしたうえで、アラハバキはかおるせんたずねる。


「おまえ如何どうする、小僧こぞう?」


 そうわれたかおるだが、あん所為せい身体からだうごかない。


「フン。おまえ祖父そふは、もうすこ勇気ゆうきったが……」


 アラハバキにそうわれ、かおるなやむ。


(どっ、どうことでしょう? でもぼくはどうすれば……)


 なやんでいるかおるしりに、アラハバキはさいちかいてく。


ちかるんじゃないよ、この悪魔あくま!」


 そうったおりに、すがいていた。


ざんねんわたしへびではあるが、いちおうほんかみなのでな」


 そうわったアラハバキは、まえまると、ゆっくりとをくびみぎばす……

 そのようているおりうごい……

 いいや、うごい。


だれたすけて!)


 きょうかんじ、まぶたじてそうつよねがったしゅんかん……

 ネックレスのまがたまつよひかし、そのひかりがしてあたりをつつんだ。

 ひかりがえると、アラハバキはみぎかくし、からかなり距離きょりっていた。


「ちっ、が……」


 アラハバキがそうわると、らぬこえたちみみこえてる。


ったようね」


 そしておりまえに、しろかがやじょせいとつじょ姿すがたあらわした。


「そのこえはスセリか……、さま此処ここに?」


 みぎかくしながらアラハバキがそううと、スセリはかなりげんそうなこわいろかえす。


「それは此方こっち台詞せりふです。何故なぜあのに?」


 そうったスセリのせんは、うろこはだしょうねんいている。

 アラハバキはそんなスセリに、みぎかくしながらがおかえす。


姿すがたえんが、おまえだれことってるのかはかる。それなら……ほんにんくがい」


 ことわるとどうに、うろこはだしょうねんがスセリにりをおこなう。


  ガツン


 だが、スセリとうろこはだしょうねんあいだしろひかりのかべあらわれ、こうげきはばんだ。

 かべっているうろこはだしょうねんに、スセリはねんく。

 しょうねんけているかおがお

 

(「これは如何どうことかしら、タケミナカタ?」)

(「せつめいのちほどいたします、いまけいかくしゅうちゅうしてください」)


 スセリとうろこはだしょうねんねんでそうかいをしていると、おにめんせいねんがスセリにかってう。


「そこまでだスセリ


 おにめんせいねんこえに、スセリはあたりをまわす。

 するとおにめんせいねんほくを、てんたい耀ようひとじちっていた。

 そしてうろこはだしょうねんまえかべり、ようよこ退く。


「これならさまでも、あしまい」


 てんがスセリにそううと、スセリはまえかべし、ほほみながらかえす。


たしかに……――、わたしはね」


 わったスセリは、呪文じゅもんとなはじめる。


「オーリゴー、アニムス、アエテルヌス、プラエタリタ、レディーレ!」


 するとようたい耀ようほくしょしていたアクセサリーのようものが、さんにんまえとつぜんあらわれ、ひかけものへと姿すがたへんじた。


 ようものは、あししろりゅうに。

 たい耀ようものは、おおきなこんじきとりに。

 ほくものは、おおきなくろおおかみに。


 そしてそのさんびきはそれぞれ、ちかくにてきかってこうげきける。

 こうげきかわされたものの、ようたい耀ようほくちかくにてきは、アラハバキのもと退く。


「アラハバキさまなんですこのひかけものは?」


 うろこはだしょうねんことけ、アラハバキはすこいてう。


「――……ほどさきほどじゅもんおみよみがえらせたのか?」


 するとスセリはアラハバキにかい、しんけんかおげる。


「さぁ、もういちふういんしてあげましょう」

「そうしてやりたいのはやまやまだが、この退かせてもらうぞ」


 アラハバキがそうかえしたので、スセリはしんまんまんさいげる。


「それをゆるすとおもいますか?」


 スセリのこのことで、おみたち一斉いっせいにアラハバキたちおそかった。


 が……


 こうげきとどくよりもさきにアラハバキたちは、とつじょすさんだ、りょうふくとっぷうとも姿すがたす。

 アラハバキの姿すがたはそのいが、かのじょこえだけはこえてる。


「またおうスセリ、そしてどもたちよ。フフフ、フフフフ」


 その台詞せりふきながらスセリはおもう。


(これでだいたいちゃばんわった。あとは……)


 スセリはようほくたい耀ようおおをしていないかかくにんするためさんにんせんける。

 おみたちがそれぞれにようたいしており、ようほくたい耀ようがそれぞれがったので、スセリはいったんおりけた。

 またせんようたちもどすと、もうわけなさそうに、そのぜんいんけておねがいをはじめる。


わたしはスセリ。とこあるじ、オオクニヌシになりわりねがもうげる…… ねがどもたちよ、アラハバキのさいふういんつだってください」



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