第13話  夜這い前

「この地域の夜這いのルールを教えて欲しい…そういうご依頼ですか」


俺は今冒険者ギルドに依頼に来ている。


俺は勇者パーティだったせいか『夜這い』のルールを知らない。


「はい」


「それでしたら、適任がおります…そうですね銅貨5枚(5000円)になります。酒場でお待ちください」


流石はプロの受付嬢、こういう話なのに何も言わずにこなしてくれた。


俺は銅貨5枚を置き酒場へ移動した。



暫く待つと結構な齢の冒険者が来た。


「あんたが夜這いについて知りたい…おやリヒトさんじゃないか?」


「まぁそうだ…それで、教えてくれないか?」


「ああ、良いぜ、ギルメドのやり方で良いんだよな」


態々ギルドに頼んだのには理由がある。


それは、情報の正確性。


お金を払って購入した情報だから、嘘だった場合は責任が生じる。


それに守秘義務。


俺がこの情報を買った事は他言できない。


嘘を教えられて失敗したら目も当てられないし、余り知られたくない…適切だろう。


「この地域のやり方が知りたいんだ」


「それなら簡単だ」


夜這いの作法は地域ごとにあるが、ここギルメドの場合は…


①  女性へのプレゼントの持参

 夜這いの相手をしてくれる女性への感謝の気持ちで、プレゼントする物によって意味合いは変わるそうだ。


② 枕元に正座で座り女性が目を覚ますのをひたすら待つ

 あくまで相手をするかどうかの判断は女性にあり、起きるまで

 一切体に触れずひたすら待つ。


③ 女性が目を覚ましたら持ってきたプレゼントを渡す。

 女性が手にして受け取って貰えたら夜這い成立で営みに入れる。

 もし、プレゼントを返されたら、そのまま黙って帰る。


大まかに言うとこんな感じだった。


後は、若い未婚者や妻帯者には行ってはいけないという暗黙のルールがある。


つまり20歳以上で結婚していない女性か未亡人にしか実質夜這いは出来ない…そう言う事だ。


「しかし、随分と古い事を調べているんだな、リヒトさんは」


古い?


「古い? どうして…」


「ああっ夜這いの風習は男女比が偏って女性不足の時に出来た話だぜ…今現在、ギルメドは戦争で多くの男が亡くなったり、仕事が少ないから、この街を離れていった男が多く、どちらかと言えば男不足なんだよ…綺麗な若い子が普通に沢山いるのに婆ぁに夜這いなんてかける必要ないだろう」


若い子が好みじゃないから…おれにはこの知識が必要なんだ。


俺は男に銅貨を渡して、酒場を後にした。







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