第8話 告白

「リヒトくん、夕食ができましたよ…さぁ食べようか?」


廊下からルミナスさんの声が聞こえてきた。


良いなぁこういうの…


今まで、食事といえばいつも俺が作っていたし、呼ぶのも起こすのも全部俺…しかも感謝1つされなかった。


だから、すごく新鮮でうれしい。


しかもルミナスさんは声も凄く綺麗なんだよな…


「は~い、今行きます」


俺は、ベッドから飛び起き食堂に向かった。


◆◆◆


「凄くおいしい…」


「そう?!そう言って貰えると作ったかいがあるわ…お代わりもあるから沢山食べてね」


「はい、頂きます」


今日のメニューはオークシチューだ。


良く煮込まれていて、凄く美味しい。


料理も美味しいがテーブルを挟んでルミナスさんがいる…それが一層料理を美味しくしている。


「相変わらず良い食べっぷりをしているわね…うふふっ私に子供が居たらリヒトくん位なのよね、あっパンもお代わりあるからね、はいどうぞ」


「ありがとうございます…だけど母子には見えないと思いますよ…ルミナスさんは若くて綺麗だから、せいぜい姉弟にしか見えないと思います」


「あらっ、おばさんを揶揄っちゃだめよ!私は良いけど人によっては本気にしちゃうからね…ほら頬っぺたにパン屑がついているわよ」


そういうと俺の頬っぺたのパン屑を手で取りそのままパクリと食べてしまった。


ルミナスさんがすると凄く色っぽく感じる。


俺の年齢は15歳。


ルミナスさんの年齢は…解らない。


微妙な年齢なのか決して教えてくれない。


前にそれとなく聞いてみたが…


『うふふっ、女性に年齢は聞いちゃだめよ!』


『教えてあげな~い』


『もう、おばさんですから(怒)』


と決して教えてくれなかった。


それにこの会話をすると明らかに『私、不機嫌です』という感じになるので未だに年齢不詳のままだ。


多分、20代後半位…そんな感じに思っている。


「ところでルミナスさん、他にお客はいないんですか?」


「そうね、いないわね、リヒトくんが三か月ぶりのお客様かな?」


「あの…大丈夫なのですか?」


「亡くなった旦那が一応下っ端だけど軍人だったから継続して慰労金が貰えるのよ…だから宿屋の収入が無くても細々暮らせるわ、まぁ贅沢はできないけどね…それよりリヒトくんはなんで此処にきたの?冒険者として高ランクなんだから、他に行けば沢山稼げるでしょう?」


「勇者パーティで結構疲れちゃいまして、のんびりしたくて…」


「のんびりしたいなら、コハネとかオカシズとかリゾート地で冒険者をした方が良かったんじゃないのかな? ここを選ぶ理由はない気がするけど…一度城砦が破られてから、ここどんどん廃れていっているわよ」


結構鋭いな。


「実はルミナスさんに会いたくて…つい来ちゃいました」


「えっ、私に会いたくて…こんなおばさんに会いたかったの?」


「はい」


「あっそうか…リヒトくんお母さんが居ないから、それで…」


「いや、そうじゃなくて、ですね…」


此処まで来たら、腹を括るしかないよな。


「まさか、おばさんを好きになっちゃったとか(笑)!」


「…はい」


「あ~あ、おばさんを揶揄っちゃだめよ! リヒトくん…」


「…」


「ほら、私、おばさんだよ…碌なもんじゃないよ、胸だって垂れてきているし、お尻だって大きいのよ…若い子みたいにスレンダーじゃないし…歳だってリヒトくんの倍位だわ、リヒトくん二枚目で若いんだから幾らでも可愛い子が選び放題じゃない?」


「俺が見た女性の中でルミナスさんが一番綺麗でした…ルミナスさん以上に綺麗な女性を見たことありません」


「あ~あ…おばさん困っちゃうな…でも『綺麗』なんて言われたの久しぶりだわ…ありがとう…あははっ…そうだ片付けしなくちゃ…食器はそのままで良いからね…それじゃ…」


「あっ…」


ルミナスさんは、顔を赤くしながら行ってしまった。


普通に考えて子供位の子に言われても困るよな…


つい勢いで言ってしまったけど…どうしよう…


気まずいな。








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