第32話 インドはカレーの国ですわ!

カップヌードルカレー味。

(1973年発売。カップヌードルが1971年発売だから、50年は立派なロングセラーだ、シーフードが1984年発売とけっこう後なのは意外だった、シーフード味はフィリピンでは人気らしいですね、作者は醤油となぜかチリトマト味 (1982)が好き、調べたらこれも小学生の時には発売だった、これもシーフードより先だったか?けどチリトマは高校生になるまで食べた事がなかった、初めて食べて「何これ美味!」ってなって部室でよく食べた思い出がある)


何年か前に世間様でアニメのゆるキャン(2018)が人気だった時、主人公の女の子がカレー味のカップヌードルをとても美味しそうに食べるシーンがあった。

あれには結構、大きな衝撃を受けたものである。作者は基本的には醤油味が好きでカレー味は1段下に見ていたのだが、そのシーンでのカレー味のカップヌードルはひどくオシャレで美味そうに思えたのだ。

寒いキャンプ場でお湯をコトコト沸かし、1杯のカップ麺をすする。簡単そうでも意外と出来ない事である、キャンプに出かける勢いをつけられるようにジムニーでも買おうかな。けど、あの車ってオフロードには強いけど小さいから室内狭いんだよな(軽の中でも狭い、最近は軽自動車も室内広いからね)、荷物入る?けどキャンプ芸人のヒロシも乗ってるし大丈夫か?(あ。ぼっちキャンプだからいいのかアレ)








西園寺邸、午後10時3分。

ズズズとすするような異様な音と刺激的な匂いが屋敷を襲った。





ズルルルルルッ、ハフ、ハフ


「やっぱり、カップヌードルはカレー味が美味しいですわ!」



バターン!


「エリカお嬢様!カレーの臭いが廊下にまで漂ってます。こんな夜中にカレーヌードルでの飯テロはおやめください!」


カレーと焼肉は匂いで献立がバレやすい料理だ、家の横を通っただけで「あ、今日お隣さん家カレーかぁ」ってなる、カレーだとまだ微笑ましいんだが、焼肉の場合はちょっと羨ましいのでこまる。


「戸田、カレー味は意外とスーパーで安売りされる頻度が高いのでお得なんですわ、不思議ですわね、こんなに美味しいのに売れ残りやすいのかしら」


エリカはコテリと首を傾げる、カレーの国インドにもってけば結構売れるんじゃないかな、当然だがインドではカレー味が人気だ。

(作者の近所のスーパーだけかもしれないですが、他の醤油や塩味よりカレー味は安売りの頻度が高いんですよね(他が118円でもカレー味は98円とかで売ってる)、本当になんでだろう?)


「確かにここ最近の食品の値上げは困ったもんですが、お嬢様はそんなに困らないでしょう」


「そうそう、この前スーパーに行ったら卵がいつの間にか1パック272円※だったんですわ、びっくりですわ!前は特売で100円の所もあったのに、世の中狂ってますわ!」


「スーパーの卵の値段に詳しい御令嬢って…こっちがびっくりだわ」


「いっぱい買ったので、戸田もカレーラーメン食べます?」


「こんな時間に何を食べさせようとしてるんですか!太らせる気ですか」


「人間お腹が減ってると、怒りやすくなりますのよ」


「……」


※これロシアの戦争の影響で飼料の価格が上がったことや、鳥インフルエンザで国内の鶏が8%は殺処分されているかららしいですが、他の食料品も軒並み値段上がるのは勘弁してほしいですね。





明くる日、朝っぱらから南海線に揺られ難波駅に到着するエリカ、トレードマークの縦ロールの髪をバサリと翻し東出口の高島屋の方に足を向ける。

その後にはちゃっかりウィリアムズ王子が付いてきて居た。朝、屋敷の門を出た所で、ちょうどエリカの屋敷に行こうとしてたウィリアムズ王子に、ばったり会ってしまったのだ。

安定のストーカー野郎である。エリカが無言でスマホを取り出し110番を押そうとするのもわからんでもない。


「HAHAHA、エリカといると全然退屈しないからね、それに愛する人とはいつでも一緒にいたいじゃないか」


どうにも軽薄なイギリス人である、こんな奴に王位継承権を与えない方がいい。


「前にも言いましたが、イケメンなら犯罪にならないと言うのは、この法治国家日本では通用しませんからね」


まぁ、最近は強盗だ、殺人だと大分物騒な世の中になっておりますがね。


「えっ、イギリスでは王族特権が適用されるよ」


「21世紀にもなっているのに何を世迷いごとを」


インターネットにスキャンダルが上がると王族でもバッシングされる時代だからね。


「で、エリカは今日はどこにいくの?」


ウイリアムズがエリカに行き先を問う。


「……n、g、kですわ」


「えっ、ごめん、僕としたことが、君の声を聞き取れないなんて恥ずかしいんだけど、もう一度言ってもらえる?」


「だから!なんばグランド花月ですわ!!」


そう叫ぶように言うとエリカは顔を赤くして目を逸らした、照れている?いつも堂々とした態度のエリカだけにウィリアムズは、愛しい人の新たな一面を見れてちょっと嬉しくなってしまった。

ところでなんばグランド花月って何?と首は傾げる。



コツコツコツ

美男美女の二人が難波の街を歩く、が、一人は縦ロールもう一人はブロンドの外国人と派手な顔立ちをしているので、見ようによっては新手の漫才師に見えないこともない。


わたくし月に一度は必ず行くんですの」


「へぇ、エリカは観劇が好きなんだ、じゃあ、今度パレスに招待するよ一緒にオペラを見よう」


「新喜劇はオペラじゃございませんわよ」



ズザァッ


「さぁ!ここが笑いの殿堂、日本が誇るなんばグランド花月ですわ!!」


太い柱に支えられた和風の屋根をバックにエリカが両手を広げ微笑んだ。

あまりに良い笑顔だったのでウイリアムズは思わずスマホのシャッターを押した、やってる事はお上りさんの観光客と一緒である。

なんばグランド花月はお笑いの劇場としては国内最大の858席を誇り、毎日漫才、落語、新喜劇が楽しめる、まさに大阪の笑いの中心地である。


エリカは中に入るとそのまま2階の売店に向かう、ウイリアムズもついて行くがチケットは買わなくていいのかと頭を傾げた。


「ここは顔パスなので大丈夫ですわ、西園寺の名で常に席は押さえてます、王子の席も問題ありませんわ、席代は後日請求させてもらいますけど」


売店で慣れた手つきでジュースを2つ受け取ると1つをウィリアムズに渡した。


「なんばグランド花月でミックスジュースを飲みながら新喜劇を見るのがとても好きなんですわ」


「ちょっと照れてるエリカがめちゃくちゃ可愛いんだが、デレ期来た?」


「坂田利夫師匠や池乃めだか師匠が大好きなんですの」


ポッと顔を赤く染めるエリカ。


「ぐぬぬ、可愛いんだけど、ちょっとジェラシー」




ガヤガヤ


よる公演まで観ていたので外に出た時にはすっかり夜空になっていた。

なんばグランド花月には飲食店も入っているので、意外と1日中いても大丈夫なのだ。


「いや~、文珍師匠の落語良かったなぁ~、あの話術は名人芸だね」


「あら、落語をおわかりになられるんですの、今度CDお貸ししますわ」


「それとエリカが楽しみにしてた劇も面白かった」


「ふふ、今日は皆さんキレッキレでしたから当然ですわ!」


なぜかエリカが腰に手を当ててドヤ顔で微笑む。


「さて、締めは道頓堀でお好み焼きでも食べて帰りますか、気分が良いのでわたくしが奢りますわよ」


「えっ、たこ焼きもオムライス、それにさっき肉吸いも食べたよね」


「それが何か?」


「いえ、ご一緒させていただきます!」





ちなみにその日の晩、2日連続でカレーテロを実行したエリカは戸田にまたもや説教されることになる。


次の日、ウィリアムズは腹痛で欠席した。食い倒れにはご注意。

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