第46話 五人の俺、必殺技を考える
俺は考えていた。
先日の巨大
戦隊的にあの場面では、必殺技を出すべきだったのではないだろうか、と。エルフィンドールズも、しれっと必殺技の熱殺蜂球を出していたし。
その件については、当然のように
ということで、
「はい、ということで、今回も俺グリーンが進行をさせてもらいます。アストラル砲弾作成のノルマもまだ残ってますので、テキパキといきましょう」
「議事録は俺が取りますよ」
俺ブラックが議事録を取ってくれるようだ。面倒な作業なので、ありがたい。
「さっそくですけど、私、一つ提案があるんですけど」
さっそく俺ピンクが発言する。腹案があるようだ。
「私、エステラちゃんに聞いて、みんなにも話してますけど、羽根を出したいなと思ってます」
それは見た目的にもいい考えだ。
すぐに俺イエローが反応する。
「それ、良いですねー。ちょっとだけなら飛べるっぽいですしね」
そう、エステラちゃんとナタリアちゃんは、たまに飛んでいた。
あとテンションが高そうなときには、少しだけ浮いていた。テンションが上がると、少し浮くとか可愛いなと思っていた。
俺も少しだけで良いので、飛んでみたい。
「採用で」
全員一致で採用となった。
「俺からも良いですか」
今度は俺レッドの発言だ。
「前にも話したことあるんですけど、俺は拳からオーラ的なものを発射したいと思ってるんですよ。ギアナギアのエネルギー弾を見て、イメージが湧いて、できそうな気がしてるんですけど」
俺レッドの発言に対して、俺ブラックが反応する。
「俺も発射できそうな気がしてますよ。なずなちゃんとかすみちゃんは、覚醒していきなり白い光の盾を出してましたしね」
そう、ホワイトシュシュのなずなちゃんとかすみちゃんは、唐突に白い光の盾を発動させていた。
アストラル神に『キュートで優しく大きな力を持っている』と言われる素質は伊達ではない。
そして、俺にも五分割されるほどの力があるので、エネルギー弾ぐらい発射できても良い気がしている。
アストラル砲弾作りが忙しくて、なかなか試す機会がないが、少し練習すれば発射できるのではないだろうか。
「採用で」
全員一致で採用となった。
「エネルギー弾も良いんですけど、一撃必殺ではなさそうなんですよね……」
今度は俺イエローの発言だ。
そう、エネルギー弾は便利そうで良いのだが、一撃必殺感に欠ける。
それは俺も思った。
「ですよね。ギアナギアみたいに回復されると、無駄撃ちになりますよね」
「なにか良い案は、ないですかね」
全員俺なので、意見の多様性に欠けるのが、
しばしの間、沈黙が続いたが、俺ブラックが思いつく。
「誰か一人にアストラルエナジーを集めるとかできるんじゃないですか。アストラル砲弾作りの要領で」
その提案に俺レッドと俺イエローが同意する。
「おー確かに。できそうな気がしますね」
「ちょっと試してみましょうよ」
さっそく各人にアストラルエナジーを注入することができるのかを試してみる。しかし。
「アストラル砲弾のようにはいきませんね」
「ですね。なぜだか砲弾と違って注入しにくいですよね」
思ったほど簡単にはいかなかった。そうそう都合よくはいかないようだ。
ただし、
「でも俺グリーンさんへは注入できそうな感じがあるんですよ」
「あ、俺も同じです。なんかあとちょっとって感じ」
「俺もそう思いました。俺グリーンさん、平均的ですもんね」
「俺グリーンさん、いい意味で特徴がないですからね」
えっ? 俺?
自分自身ではよくわからないのだが、そうなのか。
確かに俺には特徴がないからな。
「あれ、そうなんですか。熱くてシンドイですけど、もっと我慢しないとダメですかね」
その後もガヤガヤと相談をしたが、それ以上の意見は出なかった。
俺は今回のまとめとして、習得したい必殺技候補をホワイトボードへ書き出す。
①羽根を出して飛ぶ
②拳からエネルギー弾
③俺グリーンに力を集約して一気に解放
「ではこの三つを、これからの訓練で習得できるように頑張りましょう。今日はお疲れ様でした」
最後に俺が締めて、第二回オレンジャーズ会議は終了した。
翌日から
講師としてエルフィンドールズを招き、アストラルパワーの使い方について指導を仰ぐ。
どうやらアストラルパワーは、そのときの気持ちや集中力によって出力が大きく変わるようだ。
そうして訓練すること数日後、初めて羽根を出すことに成功した。
小さなエネルギー弾を発射することもできた。
俺に力を集約して一気に解放する技も少しずつではあるが、その威力が増している。
今はまだ弱々しくて使い物にならないレベルだが、いずれは必殺技と言えるレベルに昇華させたい。
◇◇◇
分身戦隊オレンジャーズ!
地球から悪が滅びるその日まで、オレンジャーズの五人は力を合わせて戦い続ける!
力を合わせると言っても、もともと全員、俺なんだが。
つづく!
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