第25話 私の胸に視線が集まる
星幽結社エルリンケイムの本拠地に、オレンジャーズさんの戦闘服がバージョンアップしたとの一報が入った。
そのため、私はナタリアちゃんと技術班長カカリーナさんの三人で、様子を確認に地球へ遠征することになった。
前回と同じく午前中は関係者全員で打ち合わせ。
午後からは、技術班長カカリーナさんに難しい説明をお任せして、私たちはオレンジャーズさんとお話している。
「俺レッド変身!」 シュンッ!
「俺グリーン変身!」 シュンッ!
「俺イエロー変身!」 シュンッ!
「俺ピンク変身!」 シュンッ!
私たちの目の前で、用もないのにオレンジャーズさんが次々に変身した。
「新しくなった対怪人用スーツ、すごく便利だよ。ありがとう、二人とも!」
「いえいえ、お役に立って良かったです」
「しかしエルリンケイムさんには頭が上がらないね。こんな良いものをただでもらってちゃって」
「えっ、私たち、アストラルエナジーを奪ってますけど……?」
「ああ、そういえばそうだったね。まあ、どうせ使えないものだし、ただみたいなもんだよ。ははっ」
「本当ですか。ありがとうございます!」
満足してくれているようで、私は嬉しい。
みんなでワイワイと話をしていたら、俺グリーンさんがおずおずと何かを差し出してきた。
なんだろう?
「日本でエルフィンドールズのカレンダーが発売されましてね。できたらサインをもらえないかなーと」
「えっ、私たちのカレンダー?」
「そう、これ」
私は俺グリーンさんから渡されたものを手に取り確認する。
本当だ。
私たちとオレンジャーズさんが戦っている写真が載っている。
もともと日本へは侵略のつもりで来ていたはずだ。
なのに、侵略先の日本で私たちのカレンダーが発売されるなんてことがあるのかな。
少し前まで星幽結社エルリンケイム、そして私たちエルフィンドールズを怖がっていたはずなのに。
不思議なところだ。
「なに、なに? エルフィンドールズのカレンダー? ナタリアにも見せてー」
俺イエローさんと話をしていたナタリアちゃんが寄ってきた。
ナタリアちゃんがカレンダーを覗き込む。
「本当だー、ナタリアが写ってる! なかなか良く撮れているねー」
嬉しそうにナタリアちゃんがページをめくる。
「あっ、このページはエステラちゃんのアップだー。うーん、この写真だと分かりにくいけど、エステラちゃん、最近おっぱいが大きくなったんだよ」
「!!!???」
ナタリアちゃん、急に何を言ってるの!?
ナタリアちゃんの発言を聞いて、オレンジャーズさんたちが一斉にこっちを見た。
私の胸に視線が集まっている。
ひゃああああ。
「ちょ、ちょっとそんなに見ないで下さい! まだそんなに大きくはないですよっ!」
あっ、私は何を言ってるの!?
「「「「えっ!? まだそんなに大きくはない!? あっ、いや、すみません」」」」
オレンジャーズさんたちは、そう言ってバツが悪そうにしながら揃ってどっかを向いた。
もう、さっきから一体なんの話だろう。恥ずかしいな。
なんだか色々ありながらも、私とナタリアちゃんはカレンダーに名前を書いた。
そうこうしているうちに、技術班長カカリーナさんたちの会議も終わり撤収の時間となった。
オレンジャーズさんたちは、帰り際にサインのお礼と言って、カレンダーとスイーツを持たせてくれた。
「エステラちゃん、スイーツ美味しそうだねー」
「うん、見た目もとっても可愛いし。帰ってから一緒に食べようね」
私は、星幽結社エルリンケイムが地球の皆さんに受け入れられているようで、とても嬉しかった。
優しくて親切な地球の皆さんが、私は好きだ。
◇◇◇
分身戦隊オレンジャーズ!
地球から悪が滅びるその日まで、オレンジャーズの五人は力を合わせて戦い続ける!
力を合わせると言っても、もともと全員、俺なんだが。
つづく!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます