No.74【短編】ブルーが殺された

鉄生 裕

【序章】

ブルーが殺された。


ブルーは人一倍正義感に溢れていて、馬鹿が付くほど真面目で優しい奴だった。

「いつかは怪人達とも分かり合える日が来るんじゃないかな」

彼がそう言い出した時には、あのイエローですら呆れた顔をしていた。

そんな彼が一昨日の夜、何者かに刃物で腹部を刺されて死んだ。

今わかっていることは、『ブルーを殺したのは怪人ではない』という事だけだった。




「レッド、大丈夫?もしブルーの事を考えているんだったら、今は怪人に集中して」

ピンクが俺の肩を叩いて言った。

「すまない。あと何分だ?」

「あと一分だよ。今度はどんな怪人が出てくるのかな?僕達四人だけで本当に倒せるかな?」

グリーンが不安そうな声で答えた。

「安心してグリーン、私達ならきっと大丈夫よ」

ブルーを失って一番辛いのはイエローのはずなのに、彼女はいつも通り冷静だった。

「イエローの言う通り、俺達なら大丈夫だ。俺達ヒーローが怪人に負けるわけがないだろ」

俺は柄にもなく仲間達を鼓舞するような台詞を吐いた。

もしブルーが生きていたら、彼ならそう言うだろうと思ったから。




一年前、石ころ程の大きさの隕石が地球に落下した。

幸いにも隕石の落下による被害者は出なかったが、隕石の落下により時空に歪みが発生し異世界との扉が開かれてしまった。

異世界からやってくる怪人達は、地球を侵略するために人間達を襲い始めた。

時を同じくして、隕石が落下した地点の近くに住んでいた俺達五人に不思議な力が芽生えた。

俺達はその力を用いて、異世界からやってくる怪人達と死闘を繰り広げた。

いつしか人々は俺達のことを『天空戦隊メテオレンジャー』と呼ぶようになり、俺達は怪人達から地球を守る最後の希望となった。

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