第12話 学校編がスタートするようです

朝は掃除や食事を運んだりなどの使用人の仕事とシェミールお嬢様と遊ぶ時間。そして昼からはレトゥナンさんとの戦闘訓練。そして夜も使用人としての仕事の時間。


なので俺の魔法の訓練はみんなが寝ている深夜となる。


「う~ん・・・違うんだよな~・・・こうじゃないんだよな~・・・」

『・・・マスター』

「ん?どうした?ルーヴェ」


俺が1人魔法の訓練をしているとルーヴェが呼びかける。


「熱心だね?レーオ」


それはシェミールお嬢様だった。


「シェミールお嬢様?こんな夜中にどうかしましたか?」

「トイレに起きちゃったんだけど外を見たらレーオがいたから見に来ちゃった。魔法の練習?」

「はい。魔法の練習は今の時間しか出来ませんから」

「でも、レーオは朝も早いのに大丈夫なの?」

「ええ、問題ありません。奴隷商でも睡眠時間は2.3時間でしたから」

「・・・そうなんだ・・・ねぇ、まだ練習するの?」

「はい。もう少しだけ練習するつもりではいます」

「じゃあ見ていていい?」

「かしこまりました。ルーヴェ。シェミールお嬢様に椅子を」


ルーヴェが椅子を出してそこに座るシェミールお嬢様。


俺は魔法の訓練に戻る。


「(イメージする姿にならないのは俺の魔力操作が下手だからか。体外の魔力のコントロールはしてこなかったからそこが響いてるのか)」


ならばとまずは魔力操作の訓練として各武器を火魔法で再現。剣に槍に盾に弓矢に斧にハンマー。


「・・・上手くいかない、か・・・」


形は歪で剣や槍などとは分からないほど。まったくと言っていいほど想像通りの魔法とはならない。


その後も練習をする事数十分。


『マスター。お時間です』


ルーヴェが魔法の練習をやめる時間となった事を教えてくれた。


「わかったありがとう」


そうして振り返るとシェミールお嬢様はベッドで寝ていた。


『途中から寝ていました』

「ありがとうルーヴェ。さあ戻りましょうシェミールお嬢様」


そうして俺はシェミールお嬢様を抱えて部屋へと戻る。


そんな日々を繰り返す事約1週間。使用人の仕事にもまだ慣れずレトゥナンさんとの訓練でもボコボコにされ深夜の魔法訓練も上手くいかない。


そんななにもかもが上手くいかない1週間だったがここから俺はシェミールお嬢様と共にユーラオス小学校に通う事になる。


「それでは行ってきますお父様お母様」


俺はシェミールお嬢様とビーラット王子と共に馬車に乗ってユーラオス小学校に向かう。そのため今はユーラオス小学校の制服を着用している。


「とうとうシェミールも小学生か。子供の成長とは早いものだな」

「シェミール。後で私たちも行きますからね。ビーラット、レーオ。シェミールを頼みましたよ」


陛下が子供の成長を感じ涙を流す。王妃様にはシェミールお嬢様を頼まれた。


「大丈夫だよ。ユーラオス小学校は王都の中だからね。僕も毎日通ってるし」

「お任せください。私はシェミールお嬢様の使用人ですので」


陛下や王妃様や王宮のみんなに見送られながら馬車は進む。


そして馬車の中ではユーラオス小学校についてビーラット王子が語る。


「いいかいシェミール?ユーラオス小学校では王族や貴族だけでなく平民の人たちも通う学校なんだ。だけど学校はあくまで僕たちが学ぶ場だ。みんなと仲良くしなくては行けないよ?」

「分かってる。お兄様」


どうやらユーラオス小学校では王族貴族平民関係なく通うらしい。だからこそユーラオス小学校内では王侯貴族の階級などを笠に来る行為は禁止されている。それは中学校と高校も同じである。


ちなみにターロス国には他にも3つの学校が存在する。


「ねぇお兄様?私、友達できるかな?」

「・・・シェミールお嬢様・・・」


やっぱりいくら王族から平民までみんな同じと言っても相手が王族とあっては心からの友達は作りにくいだろう。


「案外出来るものだよ。僕にだって平民だけど殴り合いの喧嘩をする友達がいるしね」


衝撃の事実である。ビーラット王子が平民と殴り合いをする友達?平民が王族を殴ったというのも気になるけど頭脳派のイメージのあるビーラット王子が殴り合いの喧嘩とは。


「・・・聞いたことあるかも。お母様は心配してたけどお父様が笑ってた気がする」

「・・・どうしてそのような事に?」

「さあ?なんだったかな?もう忘れたね。でも、相手の地位なんか関係ないといって接してくれる子は結構いるものだよ」

「そっか・・・ありがとう!お兄様!」


こうして元気になったシェミールお嬢様だけど、さすがに殴られそうになったら俺が止めないとな。使用人として。


「そうだ!だったらレーオも私のことはお嬢様って言っちゃダメだよ!」

「え!?いやいや!?それは!?」

「それもそうだね。だったら僕の事も王子はまずいね。ビーラットさんとかビーラット先輩って呼んでもらわないとね」


確かに学校の方針がそうなんだから従う必要があるけど、切り替えに気をつけないとな。


こうして俺たちは入学式のためユーラオス小学校に向かう。

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