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    初めまして。
    この度は『自作品への意見や提案がほしい方へ』企画にご参加いただき、ありがとうございました。主催者の島流しにされた男爵イモです。

    内容の方を拝読致しました。
    カルトに傾倒する家族の一つの在り方が描かれていたので、ある種のリアルさを感じ取ることのできた作品でした。露悪的に描写されるカルトの世界や、主人公の倒錯した価値観。親子の関係、とりわけ離別していた父との再会など。そうしたものが合わさり、それでいて最後は人間性の再生へと話が続いていたので、バッドエンドを嫌う読者も読みやすい作品に仕上がっていたと思います。話の大筋は非常に綺麗なものでした。

    続いては気になった点について。大きく分けて二つです。
    一つは、父親について。本作のカギとなる人物ですが、現状では上手く扱えていないように思いました。その理由は父親の行動からは父性よりも、半端な善意が色濃く表れてしまっているためです。「母子に近づけば、母がヒステリー気味になる」ということもありますが、作中での父親はあまりに無力です。そのうえで申し訳なさそうにしつつも、息子に人生論を説く姿には共感できません。たとえ「惨めだけど大切な父親」を表現する意図があったとしても、この書き方では惨めさが勝ってしまうように思います。改善する場合、父親の出番を増やすのが無難でしょう。たとえば回想で父親との思い出を挟んだり、過去にカルトの本拠地に乗り込んだことを父親の台詞から仄めかしたりと。これは作品の根幹にも関わる話ですが、記憶にない父親ではなく、幼少期の息子とは接点があるという設定にした方が、父子の絆を書きやすいのではないかと考えます。

    もう一つは、主人公の内面について。作中の内容からは完全にカルトに染まっていないことがわかりますが、その線引きは曖昧なものに思えました。終始「母上」と心の中では呼んでいたり、父親との再会時にはカルトの作法を重んじたりと。明確な心境の変化や葛藤が描写されないため、呪縛から抜け出せたのか疑問が残ります。話の締めも、父親に救いを見出すのではなく、神への嘆願だったのは個人的に残念でした。どうせなら強い言葉を使って、神との訣別をする場面にしても良かったのではないでしょうか。本作は『父性小説大賞』にも参加されているようなので、もっと父親の存在を前面に押し出すことが肝要かと思います。父親が息子にどんな影響を与えたのか。力になることができたのか。そうした父親の見せ所を多く設けることをオススメします。そうすれば読者は父親像に共感しやすくなり、作品の主題がより伝わりやすくなるはずです。

    以上になります。
    作者様の創作活動の一助となれば幸いです。

    作者からの返信

    この度は企画運営、批評ありがとうございました。

    ご指摘の通り、この作品は「息子を守る良き父」という観点で執筆していませんし、主人公も完全に神様からは逃れることが出来ていません。ただ身を預ける先を母(神)から世間的に正しそうな現実の父に乗り換えただけで、そう簡単に全てが解決できるわけじゃないという話です。

    「支配から完全に脱却できた!よかったね!」という結末が好まれると私も最初は思ったのですが、現実を考えると単なるハッピーエンドは現在様々な支配の後遺症に苦しんでいる人たちには残酷であると思い、このような形になっています。過去の完全な決別はその人の全否定しか救いがないことになってしまうので……。

    今後長編にすることも考えているので、ご指摘の点を膨らませて足りない部分を描写していこうと思います。ありがとうございました。