100日後に10万文字になるエッセイ

伊矢祖レナ

第1話 兼好法師ってずるくね?

ずるいよね


ずるいよ


だって徒然草ってさ、タイトルも中身もだけど「つれづれなるままに、すずりとかすりながら、感じたこととか書いていくわ」っていきなり始めるわけだけど、


予防線じゃん


それ予防線じゃん

面白いこと書けないよ、でも私は気にしてないから、つれづれだから、って。

ずるいよそれは兼好さんよ。



ということを、思いました。このエッセイを始めようと思ったときに。


日本人は、はるか昔から予防線を張るのが好きだったようですね。それを奥ゆかしいというのは、まぁ正しいっちゃ正しい気もするんですが、

わかるっちゃわかるんですが

随分きれいな言い方してるなとも思います。


どちらかというと、日本人って批判を恐れる体質なのかな、なんて、

そんな難しいことを思ってしまったりしました。ラジバンダリ。


かくいう私も、そんな血を継ぐ人間として、その体質をきっちり継いでしまっているからこそ、

このエッセイの紹介欄(?)に、つれづれなるままに言い訳をたてならべたわけなんですけれど。



批判が怖い。

っていうその気持ちって、なんなんでしょうね。


自分が書いたものが批評されるのが怖い、とか

くそ滑ってるじゃんって言われるのが怖い、とか

あなたここ誤用だよって指摘されるのが怖い、とか


理屈でいうと、怖がる必要のないはずのものなはずですよね。

だってなぜなら、その人がナイフもって「おい、気味悪いもの書きやがって。刺すぞ」って言ってくるならまだしも、単に言葉で意見表明されてるだけなわけで

それは「知るかおい。おれぁこれが好きなんだ」って言い返せば済むはずなんです。


それはわかってるんです。頭では。

でも、心臓は勝手に脈拍を上げてしまう。手が震えて冷たくなってしまう。


生来臆病であると、色々と不利だなと、思うことが多いです。

だって、体に出てしまうから。嘘もつきにくいので、余計恥ずかしい思いをします。


肝が太くなりたい。厚顔無恥でありたい。自転車漕ぎながら大声で歌うおっちゃんとか、初対面の年上の人に軽々しく話しかけられるチャラい人になりたい。


生きていると、よくそう思ってしまうのです。



……困りました。思っていたよりもずっと自分の内面を掘り下げる形になってしまっています。

これは想定外でした。速筆のために始めたはずのエッセイが、こんなに赤裸々になってしまうなんて。

兼好法師から始まったはずなのに。


恥ずかしい。今なら初回だからやめられる。やめよう(弱い自分)

いや、始めると決めたのだからちゃんとやろう。(強い自分)

とりまあげたらよくね?(ギャル)


困りました。

三つ巴の戦争をしているうちに、時間が迫り、形勢がギャルに傾きつつあります。


ギャルは強い。ギャルになりたい。

そうだ、次の小説はギャルにしよう。


そう決めたところで、15分です。

どの軍勢が勝ったかは、あなたがこれを見ているかどうかでわかります。

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