偶然 (性描写有)

 お兄ちゃんに、彼女が、出来た。


 ……私が其れを知ったのは本当偶然。ある日友達と本屋に行こうと商店街を談笑しながら歩いてると……


 目の前に見知った顔、お兄ちゃんと……私の知らない、綺麗な女の人。私たちに気付いた様子はない。

 髪の毛もふわっと綺麗な茶髪で背もすらっと高く細身でモデルさんみたい、そしておっぱいも大きくて……全てにおいて短髪黒髪で、背も低く子供っぽい体型で、胸も……な私とはまるで逆で。

 腕をぎゅーっと抱いてくる彼女に、やめろといいつつも、まんざらでもない顔しちゃって……。


 彼女なんか、いないんじゃ、なかったの?


 アの時、私に、嘘をついたの?


 ソレトモ、ワタシナンカニ、ホントウノコトナンカ、イッテナイノ……?


 ……


「ちょ、ちょっと、どうしたの? 凄い顔、してるよ?」

 友達の声ではっと気付く。

「……う、ううん、何でもないよ。さ、行こうかっ♪」

 そう明るく振舞おうとしたけど……その後全然気分が晴れなくて……友達には悪いと思いつつ……。

 入った本屋で参考書を買おうと思ったけど……全然勉強の事なんか考えたくもなくって……。

「……何か気分乗らないみたいだね、帰ろうか?」

 友達の彼女、本当気が利くし良くしてくれる……こういう時、有り難い……。

うん、と頷き、帰ろうととあるコーナーの前を通り過ぎると……


 何時もは足早に通り過ぎる本棚、先程の彼女さんとよく似た女の人が、上半身ハダカでいやらしいポーズを取っている、ビニールに入った本の表紙が目に入った。


 ……あの時、私だって、覚悟してたのに。


 結局は、こんなえっちな体形の方がいいの?


 そのうち彼女さんと……私が、ワタシダケガハイレタオニイチャンノヘヤデ……


 ……


 気が付くと私は、友達の見知った部屋のベッドの上で目を覚ました。あの時私は、友達の前で倒れてしまった、らしい。

「あ、大丈夫? 良かった……どうしたの? 急に倒れちゃって、近所だから何とか私の家まで連れてきたけど、タクシーでも呼ぼうか?」

「……ううん、ありがとう……心配、かけちゃったね。私は大丈夫……だから……」


 そう言いながら……先程の光景を……思い出しちゃって……


「うっ……うわああああああああああああああああああああん!!」


 気が付くと友達の膝の上で、私は号泣していた……。

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