アオとブルー

一粒

No.1 問い

出来ないと言うことが、

どれほどの幸福なのか、

それを知った方がいい。


「自分の力ですべてをしたい。」


君は言ったね。


「出来れば、3人分。」

「それが出来たら、他の人を助ける事が出来る。」


それで、一体どうだった?

人を助けて、救って、それでどうだった?


目の前のスクリーンに映るアオを見て、横の男は、私に問いかける。


ぽたぽたと大粒の涙をこぼし、下を向き、

体を震わせ、声を漏らさぬように、必死に堪える。


実際、体験してみて、どうだった?


気付かぬふりをしてか、アオに問いかける。


幸せだった?

嬉しかった?


「苦しかった。。。」

言葉がどもる。


なぜだろう?

アオ。君は、望んでたよね?

苦しいの好き?


「うんなわけない。。。」


聞こえないな。。。


「聞こえているくせに。。。うんなわけないだろ!!」

我慢しきれない思いが込み上げてきて、爆発した。私は、声を荒げて、怒鳴っていた。


なんで?


「人よりも、倍も仕事が出来て、他の人の分もして、助けてあげて、嫉妬され、悪口を言われ、馬鹿にされ、嘘もつかれ、今まで以上に仕事を回され。。。」


堪えきれずに吐き出された、吐瀉物|としゃぶつが、止めどなく溢れ出る。

抑えようとすると、脇から溢れ出し、堪えて飲み込もうとすると、逆に勢いがついて、吹き出す。出すものを出さないと、うづきが止まらない。


君が望んだ。

アオ、君が望んだんだ。

そして、君の望みを、私が叶える。

それを、君が体験した。

望んでいた体験を出来たんだ。

君は僕に感謝し、喜び、歓喜しても、

良いくらいだ。なぜだろう?

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