二羽の鳥 製作二日目

依頼の受けた翌日の朝、洗った後のパーツを確認し、いつものごとく店舗の作業室にもって行く。

まぁ、そんなにお客様が来るようなお店でもないので、お客がいない時間帯は、絶好の詐欺用時間となっている。

朝食後、いつもの様に掃除と準備が終わったら開店。

案の定、お客は来ないので作業室に入る。

もっとも、作業室と言ってもガラス張りなので、余程の事がない限り店内の様子はわかるし、入り口を開ければ鐘が鳴って来店を教えてくれるので安心だ。

再度、各パーツを見て大きな問題はない事を確認する。

えっ?!じゃあ、小さな問題はあるのかって?

ありますがな。

小さな気泡の穴とか、ズレとかいろいろとね。

それはガレージキットだからねぇ。

一応、型取りした時に検品はしてるけど、見逃す事だってあるし仕方ない部分はある。

だって人間だもの。

それに大きく欠けていたりとかではないので大丈夫。

で、次は各パーツに位置取りをする。

この小鳥のガレージキットは、頭部と胴体、足の4つのパーツで構成されている。

それらを合わせて位置取りを決めると、隠れる部分に部品と部品を繋ぐための真鍮線をいれる穴をピンバイスであける。

勿論、両方側にだ。

その際、位置がズレると修正は難しいのできちんとやっておく。

特に鳥の足は細いので要注意といったところだろう。

で、それが終わると実際に真鍮線を差し入れて確認。

ふむ。問題ないな。

二羽とも問題なくそこまで終了。

で、一旦各パーツを外した後、胴体の頭のパーツと合わせ目の部分に大きめのドリルで穴をあけておく。

要は、魔晶石をいれる穴である。

なるべく中心になる様にある程度の穴をあけるとそこに魔晶石をいれて押し込める。

余裕のあるサイズで作っているのでぐいぐい押すことはない。

すーっと中に入る。で、ゼリー状の瞬間接着剤を流し込んで魔晶石を固定する。

まぁ、動かす度にカラカラとか音が鳴ったりしたらつまらねぇし、なにより魔晶石が固定されていなければ、その魔晶石に蓄積されている魔力がうまく全体に回らなくなってしまうからだ。

まぁ、それはパトロンからの受け売りで、実際はどうだかわからない。

だって、魔法使えないから。

で、しばらく放置。

瞬間接着剤が固まったのを確認し、少し振ってみる。

よし。間違いなく固定されている。

それを確認した後、頭部と胴体を固定する。

勿論使うのは、瞬間接着剤だ。

そして、そろそろ昼の時間になりそうなので、午前中の作業はそこまでとなった。


昼食後、午後1時に店舗を再開する。といっても、相変わらずお客はいない。

まぁ、単価高いし、パトロン経由か、以前買ったお客さん経由でしか新規のお客は来ないので、バンバンお客きて忙しいという事はない。

まぁ、それでも経営が何とかなっているのは、パトロンのおかげだし、個人的にも忙しいよりはこういった感じでのんびりとやっていくのが性にあっている。

それに、店舗開けつつ作業できるのでありがたい。

で、頭部と胴体がきちんと固定されていることを確認し、次は頭部と胴体の繋ぎ合わせのラインをパテで埋めていく。

それと同時に、小さな気泡なんかも一つ一つ確認して埋めていく。

結構、手間暇かかるが、こういった作業が重要だったりする。

だってさ、完成間近に気泡とか見つかったら泣けるよぉ。

再度、それを埋めるためにパテ使って、ヤスリがけして、再度塗装やり直しである。

今までやってた工程が無駄になるのだ。

全部が全部という訳ではないが、それでも結構きつい。

特に締め切りがあるとねる

何としても締め切りには間に合わせたい。

お金をもらってやる以上、締め切りはきっちり守らないとと思っている。

そんな訳で、パテ盛りしてたら常連の年配者が来た。

一応、カウンターの方に移動しておく。

まぁ、多分今日も冷やかしなんだろうけどさ。

でも、お客になるかもしれない以上は、対応しなきゃと思う。

もっとも、生温かく見守るだけなんですけどね。

それに、パテの乾く時間もあるからちょうどいい。

繋ぎのラインとめぼしい気泡にはパテ盛り出来たしね。

そして、常連さんが帰った後は、気が付くともう夕方。

閉店の準備をし始める。

そして、時間になり店舗を占める。

閉店作業が終わったら、パテ盛りしたやつを箱ごと二階のもって行き、夕食の準備。

明日は店休日で、街に買い出しに行くので、冷蔵庫の中身と相談してカレーにした。

具材は、冷蔵庫に中途半端に残っている野菜と肉である。

量は、多め。

明日の朝もカレーにするつもりだからだ。

作っている間に、ご飯の準備。

どうせ煮込む時間が必要なので、のんびりと本を読みつつ進めていく。

おかげて、完成したのは、夜の九時近かった。

まぁ、偶にはいいかなとか思いつつ、夕食にする。

なかなか食べ応えがあり、うまかった。

明日の朝も楽しみだ。

そして、片付けると作業に入る。

ふむ。パテが完全に固まっていないか。

今夜は、作業は出来ないな。

よって、BDで映画を見る事にした。

風呂に入り、ビールとつまみを用意して、また開封していないBDから一本選び鑑賞を始める。

さて、明日は、買い出しして、作業の続きをするか。

そんな事を思いつつ、映画を見てこの日は過ぎていった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る