第17話

「そういえば、ラッシュは今どうしてるのだろうか」


 ふとラーメン屋を営んでいるモンスターの事を思い出し、シロを止めてからスマホでラッシュの事を検索する。すると何個か検索にヒットし内容を読んでいくと「喋るモンスター」や「絶品ラーメン」等のラッシュの写真が載ったコメントやら記事を見つけた。写真には笑顔のラッシュの姿。内容的に倒されてはいない様子で、廣谷はほっと安心した。

 そしてスマホを仕舞いシロに先に進むように言う。シロはもういいの? と首を傾げた後歩み出す。

 暫く15階を歩いてると、エルナに出会ってからか白ウルフばかりを見かけるようになった。

 どのウルフもシロを見かけると「わおーん!」と一声鳴いてからその場から去って行く。それに答えるようにシロも鳴く。まる猫からは『またね!』と音声が流れた。

 

「シロ、戻るか? 仲間と一緒にいたいだろ?」

「わん!」

『大丈夫! 廣谷と一緒にいるよ!』

「そ、そうか……ありがとう」


 シロの言葉に嬉しくなった廣谷はわしゃわしゃとシロの頭を撫でた。それを通り過ぎてくウルフが生暖かい目で見て去っていった。

 

「わ、わふ、わん!」

『ひ、廣谷、もう、もういいよ!』

「ん? そうか?」


 ウルフ達の視線に耐えられなくなったシロは頭をぶるぶると振った。廣谷は手を離しシロの毛の感触に浸った。


「シロの毛、凄くふわふわだな。でももっとふわふわに出来そうか……?」


 ぶつぶつと小声で呟きながら廣谷はシロの毛を触る。ダンジョン暮らしでもふわふわなのは一体どういう原理なのか……。廣谷は首を傾げた。

 そうして少しして16階の階段を見つけた。降りると未だ緑のエリアのようで壁や地面は自然一杯だった。そこに現れるは飛行型のモンスター。

 

「まあ、出てくるよな」


 廣谷は銃を取り出しモンスターを撃つ。そして数秒後ドロリとモンスターは溶ける。そこに廣谷は違和感を覚えた。


「溶けるまでの時間が長くなってる……? 耐久力が増えてるタイプか? ここから先はこれ一個じゃ厳しいか?」


 廣谷は銃を見つめため息を吐く。ここから先は楽に出来なさそうだ。何か強い武器があればいいんだが……と顎に手を当て考えた。

 だが今は進む事が最適だと思い、二人は先に進む。

 

「あれはあまり使いたくない、反動が怖い」


 宣言能力の事を思い出しながら廣谷は呟く。今まで散々使ってきた反動無しだったが、ここから先反動が来る可能性を考えるとうかつに能力を使う事に躊躇した。


「店を営んでるモンスターがいるんだから、武器の店もあってもいいと思うんだよな」


 ぽつりと呟き廣谷は伸びをした。


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