第37話 鳥だけに寝取り、なんちゃって
ホープside
こいつら何がしたかったんだ?
Bランクテイマーとその従魔二匹というだけでかなりの脅威だ。少なくともCランク冒険者が複数人いたとしても無傷で取り押さえることが出来るはずもない。
それこそ数人は死ぬ覚悟をしないといけない。
なのにヘラヘラと近付いてきて戦闘が起こらないと思っていたとは考えなしもいいとこだ。
「取り敢えず数を減らそうか。パーティ単位で男女1人ずつ残して後はクビを刎ねよう」
「分かった」
<
しかしそれは僕たちに関係ない。明確な敵対行為をしたのだから自分たちのバカさ加減を呪ってくれ。
「じゃあ1人ずつお話をしようか。先ずは一番近くにいる君だ。何故こんなことを?」
生かした者たちは全員縛り上げており、改めて全員に<
そして話しを聞くときだけ解除することにした。
「す、すみませんでした! 命だけは! 命だけはおねが――」
「僕の質問が聞こえてなかった? 死にたいのかな?」
「ひ! ぜ、全員で襲えばやれるってサミュエルが言ってきて、手伝わないならアンジーとヤラせろって。だからオレたちは仕方なく」
「サミュエルってのはどいつだい?」
「ほ、ホープさんが初めに殺したヤツです」
「あいつか、まあいい。それでアンジーってのはどの子だい?」
「アンジーは今そのフクロウの魔物が
その言葉にラシャドを見るとアンジーと思われる少女を突いていた。何してるんだよ。
アンジーの年は15〜17くらいか? Cランクにしては若いな。
「彼がアンジーちゃんとヤラせろって言ってきて断れなかったってことは君の方がサミュエルより弱いってことかい? 仲間一丸となって抵抗したら良かったんじゃない?」
「出来ません。サミュエルのパーティよりオレたちのパーティの方がレベルが低いってのもありますが、サミュエルの背後にはこの町でも数少ないBランク冒険者パーティがいるんです」
なるほど、虎の威を借る狐だったというわけか。
「なるほどなるほど。で、その冒険者パーティの名前は何ていうの?」
「【
レベル55はかなり高いな。それなりに実力があると思ってよさそうだ。
「メンバーの名前とジョブに見た目、すべて教えてもらえるかい? その内容次第で君の処遇を考えよう」
僕の言葉に希望を見出したのか、スラスラと聞いていない情報まで教えてくれた。死にたくなくて必死だね。
しかし2人がジョブ2つ持ちか。個人のランクはいずれAに届く逸材だとはね。
「ありがとう、よく分かったよ」
「じゃあ!」
「そうだね、じゃあこれが最後の質問だ。君、恋人だったり好きな人はいるかい?」
「え? は、はい、好きな子がいます」
「名前は?」
「その、デイジーです。パーティを組む前から好きでした。それが何か関係があるのでしょうか?」
「ううん、気にしないでくれ。取り敢えず他にまだ9人いるからみんなにも話を聞く間大人しく待っててよ。<
そう言って僕は彼に<
あと未だに突いていたラシャドを退かせる。
「今僕たちが話していた内容は聞いていたね? では君にも質問だ、心して答えるように。いいね?」
僕の言葉にひたすらに頷くデイジーちゃんがそこにいた。
◇ ◇ ◇ ◇
悲鳴を上げる男と女がいた。
死臭漂う安全地帯は闇が暴虐の限りを尽くしていた。
嘘には罰を、真実には報いを。
男たちは1人の少女へと視線を向ける。いや、背ける者もいた。
闇が少女を穢していた。
男たちが淡い想いを抱いていた相手は彼女だけだった。
闇はただただ穢す。初めて深き地下牢へと訪れた初心者を。
生贄は捧げられた。ならば闇は褒美を授けよう。
何処までも深く暗い底へと導くように。
◇ ◇ ◇ ◇
何故かは分からなかったが、デイジーちゃんはモテモテだった。
そしてこの場に似つかわしくないEランク冒険者であり、レベルも10に届いていなかった。
冒険者の多くは13歳になった際にジョブを授かってすぐ、遅くとも一年以内になる者が多い。
僕もジョブを授かって3日もせずに冒険者になった。
だがデイジーちゃんは違った。彼女はすでに17歳、ジョブを授かって4年も経ち初めて冒険者になったのだ。
17歳の無力な新人女冒険者、それだけで男たちは群がり、良い所を見せて気を引きたかったのだろう。だからこそのパワーレベリング。
「ホープよ、いつも思うが絶倫だな。ベンですら3回が限界だぞ」
「それなんだよね、正直自分でも怖いんだ。レベルが上がるにつれてどんどん絶倫になってるんだよ。そんな話聞いたことがないから多分僕がおかしいんだと思う」
「良いではないか、そのおかげで5人も犯せたのだ。特にあいつ、モテていた女なんか3回もヤレたんだ。絶倫も悪くなかろう」
ベンの限界を聞かされても困る。
確かにエリーの言うとおり絶倫で困ると言うことはない気がする。むしろ何度も気持ち良くなれるのでいい事だと前向きに捉えておこう。
「さて、荷物をあさって死体はベンに渡そう。これだけCランクがいればそれなりの物があるだろうし、ギルドに預けてあるお金にも期待が出来そうだ」
僕が5人を犯してスッキリしたあと、生き残らせていた10人は先に亡くなってしまった仲間の元へと送り届けた。
全員の身包みを剥ぎ取り必要なアイテムや売れそうなアイテムを回収する。
死体はネクロマンサーのジョブを持っているベンへ渡せば戦力アップにも繋がる。
「そういえば狩場どうする? 僕たちしかいないならここ20階層でオーガたちを狩ろうか」
「そうだな、人がいないのであればわざわざ階層を変える必要もなかろう」
パーティが多く、効率が下がるから僕たちは階層を移動する予定だったが、優しい冒険者パーティが女を差し出してくれ、アイテムやお金もくれ、狩場まで譲ってくれたのでその優しさに甘えよう。
5人も犯せば時間はそれなりに経つもので、すでに明け方近くだった。
エリーと話して午後から狩りに行こうという話になり、見張り役は三匹に任せ眠ることにした。
目が覚めると僕の顔にラシャドがピタリとくっついて寝ていた。
文字だけを見ると可愛いかもしれないけど、ラシャドって結構大きいから目覚めた時に目の前にいられると結構怖い。
というかちゃんと見張りしてたんだよね? 僕が目覚めても反応無いし不安になるんだけど。
「目覚めたか、おはよう」
「エリーおはよう。言っておくけど僕は無実だからね?」
ラシャドが僕にくっついて寝ていたことが不満だったのかは分からないが、エリーはなんとも言えない顔をしている。
「分かっている。昨晩も襲われる前、ラシャドはホープにくっ付いて寝ていたからな。まったく誰の従魔か分からん」
苦笑しながらため息を吐くエリー。
「鳥だけにこれが本当の寝取りさ! あ、いや今の無しでお願いします」
「分かった分かった、取り敢えず飯だ。その後軽く体を動かして狩りに行くぞ」
「了解、半日無駄にしちゃったからね」
実際のところ、依頼品の7割以上はすでに揃っている。襲ってきた冒険者たちが譲ってくれたのだ。とても優しい後輩たちで嬉しい限りだ。
僕たちは午後の狩りに向けて準備を始めるのだった。
――――――――――
明日1日は5時4分と22時4分に1話ずつ、計2話を投稿させていただきます。
2024年も引き続きどうぞよろしくお願いします。
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