十五日目

第18話

 世界各国発電所が襲われ、電力供給が絶たれて数時間。

 これは人の手を離れた原子力発電所が放置されていた時間と同等である。

 これによって何が引き起こされたのかというと、炉心融解でありそこからのメルトダウンであった。

 誰の制御も受けていない核分裂は何処までも続いていく。

 そして地球に穴を開けてもその分裂を止めることなく続けていた。

 これが世界中の原子力発電所で起こったのだ。

 地球中のあちこちで穴を広げ深く深く潜っていく高温の塊。

 この痛みに地球は耐えられずに振るえた。

 人類が未だ体験したこともない全地球規模で起きた大地震であった。

 世界中の内地震になれていない地域の人々で、生き残った人々はパニックを起こし、自身になれている人々はまた自身かと思う程度の震度。

 だが、これはさらに地球の変化を促すものであったのは確かであったのだ。

 地球は自身に穴を開ける高温の存在を打ち消した。

 打ち消したと同時にとは言っても、それだけのエネルギーがどこえともなく消失したわけではなく、一時的に地球が抱え込んだだけであった。

 地球はこの熱を魔素に変換しある魔物を生み出した。

 そして、世界中の原子力から発生した熱から生まれた巨大な魔物をベーリング海へと沈めたのだった。

 斯くして、地球を貫通するかも知れないメルトダウンは防がれたが、この世界を蹂躙する事が出来てしまう魔物が発生してしまう。

 今はまだ、生まれたばかりで休眠中だが、何時目を覚まし活動するのかは未知数だった。

 それと、メルトダウンによって発生した放射線や放射能は地球によって魔力へと変換され、地表の魔力濃度はさらに高まるのだった。

 一方その頃そんなことが起きていることなど露知らず、自身になれた日本人だった伊勢開成は悠長に寝ていたのだった。

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