お金が無いッ!!人生迷子の少年、迷子のエルフと出会う
些名柄ぱんだ
第1話 出会い
はい!どうもこんにちは初めまして!!僕はトーヤって言います!
今現在、僕は商人の街として有名なカザーナの街へ向かう途中の森の中で絶賛、森ウルフ4匹に追いかけられています!超!超!!走っています!!!
かれこれ20分近く続いている森林アスレチックデッドヒートはついに終盤に差し掛かり、どうやら僕のかじられエンディングで幕引きとなりそうです!
転がっている細い丸太を飛び越え、トゲの生えた雑草にふくらはぎを傷つけられながら、精一杯!もう泣きそうに、というか泣きながら走っています!!!
背後から迫る森ウルフの突進や噛みつきを走りながらむしった葉っぱを投げるなどしてやり過ごします。
僕は障害物をうまく使い、距離を稼ぐのですが森ウルフ達はすぐに距離を詰めてきます。
父さんが旅のお守りにって貸してくれた早駆けの靴がなければきっと今頃、僕は森ウルフ達のお腹の中に綺麗におさめられ、骨になっていたことでしょう。
なんでこんな事になったのか・・・説明してみれば複雑な事情がありまして・・・。
とはいえ、説明してる暇も無いので今は足を回す事に全力をつぎ込む事とします!
「回せ!回せ!!僕は死にたくないんだよぉ~~~!!!(走泣)」
絶え間なく体を酷使する事によって疲労した体は今にも崩れ落ちそうです。
暴れまわる心臓が血を体中に送り、もうゲ〇を吐いてのたうち回ってもおかしくないくらいに呼吸を荒くして足を回していきます。
(駄目だ、もう限界が近い・・・ッ!!)
20ミネットもの時間をただの人間が全力で走り続けるなんて土台無理な話です。
ただでさえ運動が苦手で小さい頃から豆ニョロリ体系と呼ばれた僕が20ミネットも走っている事自体が奇跡なのです。
酷使し続けた体が限界を迎え、体中が棒の様に硬直し、足がもつれた僕は目の前の木にぶつかってついに足を止めてしまいました。
その後ろから、口を大きく開け、よだれをまき散らしながら森ウルフが放たれた矢の様に迫ってきます。
(もう駄目だ!人生おわったーーーー!!!ごめん、父さん、母さん、・・・ユユナッ!)
森ウルフのよだれ塗れで鋭くとがった牙が僕の喉笛を食い破ろうと迫った瞬間________。
「ギャアアアアアアアアウッ!!?」
今まさに僕の命を奪う瞬間だった森ウルフが目を疑う様な速度で吹き飛び、背後にある大木にぶつかって、大量の血をぶちまけながら地面に落ちた。
(え、何・・・?何が起きたんだ・・・???)
先頭で僕を追っていた森ウルフは謎の力によって吹き飛び、物言わぬ肉塊となっていました。
何が起こったかもわからず呆然と眺めていた僕の目の前で森ウルフ達が自分に吠え散らかしています。
(な、何で襲ってこないんだ?というか、え?何で先頭のウルフは吹き飛んだの?)
その時、背後からガササッと音がして何かが僕の目の前に現れました。それは______。
灰色のぼろくずの様な服?を身にまとった、くすんだ緑色だから水色だかわからない糸の様な物をたれ下げさせた小柄な怪物でした。
目の前に現れた謎の存在に意識を奪われて口をパクパクとさせていると”そいつ”はぼろくずを少し膨らませ、棒の様な物を森ウルフの方に向けました。
(あ、これは・・・手だ。)
次の瞬間、信じられないような突風が巻き起こり、思わず僕は目をつぶると___________数瞬の後、瞼を開けてみれば。
僕の眼下には森といくばくかの距離が空いた先に、カザーナの街が見え。
体を絞られる様な感覚を覚えた後、僕は理解したのです。
ここは、中空48ミール________________地面と空の間だと。
走り続けて疲労した体と、血袋となった森ウルフ、そして、数秒の後に自分も死体になるのだと理解した瞬間に、僕の意識はそっと白いもやの中へと消えていきました。
意識を手放す瞬間、とてつもない異臭と、今となってはおぼろげになってしまった、母さんの腕の中に包まれたような気がしました。
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