星屑アイロニック
mnt。
プロローグ
「ねぇねぇ、今日転校生来るんだって!」
「え、ガチ?美少女?それともイケメンかな〜。」
「俺は可愛い女の子がいいな〜。もしそうだったら彼女にしてぇな。」
蝉が鳴き始めたある暑い夏の日。若干季節外れの転校生のせいか、生徒たちは興奮気味に話を積もらせていた。しばらくすると、朝のHRの鐘が鳴り響いた。
「はいはいお前ら、転校生来たから席に着け〜?」
鐘の音と共に教室の扉がガラガラとなり、気だるげな男教師が入ってくる。男にしては珍しく髪をハーフアップに結ったメガネの若々しい教師だ。いつもは、席に着くのも遅い生徒も転校生が気になるのか大人しく席に戻っている。
「じゃあ転校生を紹介するな〜?入っておいで。」
教室の扉の向こうから静かな足音が聞こえ、一人の少女が教室に入ってきた。辺りが静かになり、誰かの息を飲む音が聞こえた。
「じゃあ、自己紹介頼むぞ。」
「はい、せんせ。初めまして、綾瀬星屑って言います。みんな気軽に星屑って呼んでくれると嬉しいです。よろしくね?」
いじらしく少女らしい声で星屑は微笑む。長い桃色の髪を2つに結い、珍しい赤とグレーのオッドアイ、右頬には十字のようなものに点2つが刻まれていた。
「よっしゃー!可愛い子きたー!!」
転校生が女で喜ぶもの、顔には出さないが男ではなく不満なもの様々だった。
「じゃあ、なんか転校生に質問とかあるやついたら今いいぞー。」
朝のHRが面倒くさいのか、質問コーナーを開く担任。生徒は質問したいことが沢山あるのかそわそわしだす者が多かった。
「はいはいはーい!彼氏いますかー!?いなかったら俺が立候補っ。なんつって。」
巫山戯た質問をしたのが、クラスのムードメーカーの吉川だ。最近彼女と別れたらしく、彼女持ちというステータスの為手当り次第彼氏に立候補している。
「星屑ちゃんって名前にしては珍しいよね。名前の由来気になるー。」
次に質問したのは、見るからに一軍感が滲み出ている女子だった。
すると、困ったように眉を下げ一つ一つ質問に答えていった。
「まず、一つ目の彼氏いますかー?の答えはいませーん。転校する前は好きな人いたよ、だから今はフリー。名前の由来?はうーん、なんで星屑なのか分からないけど、私の世界一大好きな名前なんだ。」
そう、世界一大好きな名前で世界一大好きな響き。私の全て…私の全てだったんだ。
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