名作中の名作。歴史で紡がれたパズルのよう。

流行りのライトノベルとは一線を画した物語。
とても高い文章力で読みづらいところは皆無。

物語の主要な登場人物はみな老人ですが、老人に至るまでの人生──『歴史』を綴る短編集となっています。

この世界は闇に沈んで滅亡寸前の状態にあります。唯一の希望が神獣と呼ばれる存在。
神獣に『歴史』を捧げることで、その角は伸びて光り輝き、闇を抑えることが出来るのです。
これは、そんな神獣に今まで生きてきた証である『歴史』を贄として捧げる老人たちの物語。

短編集の形式を取っていますが、登場人物たちはどこかしらで緩く繋がっているんです。ある話ではとても善良で幸せそうに見えた人が、その後の話で悲劇を撒き散らした張本人だったという話も。
登場人物たちは良い意味で『人間くさい』。誰も彼もが完全な善人というわけではないのです。

まるでパズルのように老人たちの歴史が一つの物語を作っていくさまは、まさに芸術作品のごとし。

圧倒的完成度を誇る物語。
ぜひ一読されてみてはどうでしょうか?