名月にちかし兎よ何思う

※めいげつに ちかしうさぎよ なにおもう


今日は中秋の名月。


晴れていて、お月様もとてもきれいだ。


きれいだなあ、と思いながら眺めていて、ふと考えた。


あの美しく輝く満月の一番近くにいて、多分、お月様とは一番親しい存在の、兎。


だけど、兎からは僕達が見ているこの美しいお月様は見えない。


見えるのは、兎の近くのお月様だけ。


お餅をつきながら、お月様を見ている僕達を見ている兎。


ねえ、兎。


君も、お月様の美しさを想像したりするのかな。


それでも、君は。


こんな風に、僕達に見られているお月様のことが誇りで、そして、大好きなのだろうね、きっと。


そうだ、きっと。

君は知っているんだね、僕達が知らないお月様の姿を。




※ちかし、に近しと親しを掛けております。


※本句は、紫波すい様のご著作『彩冠綺譚~「転生者」である俺は最上級魔導士の称号を授かったのですが、平穏な日々を勝ち取るため事務職員に転職希望です~』の第4章 悠久を渡る「黒虚」の暇つぶし 67.しんじたい より、兎の獣人ティアちゃんの感情を示されたお言葉、『クロさんとあたしは、まるで月と子兎みたい。』『でも、月にだって涙を流したくなる時があると思うんです。』から着想を得ました句でございます。

完璧に見える美しい仲間と、小さな存在の自分。それでも、そんな自分でも。

そんな風に例えられた、美しい月と、子兎さん。そこから連想しました俳句です。


お月様と、小さな兎。


兎からは決して全体は見えない、美しいお月様。


それでも、兎には見えている。

皆がお月様を地上から見上げている表情が。


兎はお月様のことが誇らしくて、大好きで。


たとえ、全部は見えていなくても。

皆が知らないお月様を、兎は知っているのです。



※紫波すい様、本句の掲載へのご快諾を誠にありがとうございました。

なお、紫波すい様より、本句の掲載許可を取得済でございます。





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