第5話 彼氏と進展
「はぁ、どうせ何もしなかったんでしょ。ことはちゃんの顔見たら分かるわ。ごめんねこんなので、高校生になったらマシになると思ったんだけど」
「明日は手を出すのがどういうことかを学年の男女にインタビューして聞き出そうと思う。相対的に見て、殴るのか蹴るのか踏むのか。彼女にする行為についてのレポートを原稿用紙三枚分にまとめてくるから待ってて欲しい」
足を踏んづけた。
「ご飯食べていくわよね。今日はハンバーグよ。ことはちゃんは小さくするわね」
「私、手伝います」
「いいのよ、座ってて」
「今のカズオ君と座っていると殺意が湧きそうなので」
「本当にごめんね」
「お母さん、何を謝る事がある。今日は彼女が来た。ニンニクのにおいをさせているにも関わらず間接キスをしてくれた。十分ではないか」
「ことはちゃん、ごめんね。本当にごめんね」
「ハンバーグこねるの上手いね。将来はアレよりいい男見つけて、結婚してね」
「でも今の私はどうしようもなくアレが好きなんですよ。惚れた弱みです」
「半年だったかしら、同情するわ。お父さんも天然というかアホで高校卒業してもあんなのだったわ。もう少しいい男にしておけばあんなモンスターが生まれずに済んだのに惚れた弱みよね」
「二人で何を話しているんだい。いやぁお腹がへったよ。そういえばチーズがあったね、食パンで挟むとハンバーガーになるね。新庄さんハンバーガー食べようよ」
「あまりふざけたこと言っているとハンバーグあんたの分は無しになるわよ」
ハンバーグはいい感じに焼けた。時々、お弁当は作るが、彼氏の家で作るご飯はまた格別だった。お母さんがいい人で良かった。
「こんな不良品だけど、これからも仲良くしてね」
苦笑いしか出来なかった。
「あんたもこんないい彼女いるんだから、しっかりしなさい」
「お母さん、僕がしっかりしているから勉強を教えたんだ」
お母様は食卓の端にあったお盆で思いっきりカズオ君の頭を叩いた。
「お母さん、ご飯中に叩くのは行儀が悪い。せめてご馳走様でしたを言ってからじゃないと、ほらちゃんと椅子に座って、ご飯を食べてから」
お母様はため息をついた。目が語っていた。本当にごめんなさい。
食後にデザートがあって、高かったろうにシャインマスカットだ。遠慮はしたが、せっくだからと言われありがたくいただいた。
「ちゃんと駅まで送るのよ」
駅に着いたが、私にてすりを持たせて、一緒にゆっくり降りてくれた。
改札の前で私の腕を取った。
「大事な事がある」
「な、なに?」
「恋人繋ぎのやり方を教えて欲しい」
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