月ひとつ 蛍もひとつ 夏が来る

月ひとつ 蛍もひとつ 夏が来る



 季語は夏、季節はもちろん夏。

 テーマとなる虫はゲンジボタル。蛍も夏の季語ではあるものの、ゲンジボタルに限れば初夏の虫であり、本格的な夏には見られない。

 なお、月(年月日ではなく衛星の方)は秋の季語であるが……秋にしか見えないものでもないので、まあ仕方ないだろう。



 前回に続いて、多忙のためシーズン末期までゲンジボタルを見に行けなかった話。

 結局、仕事でホタル調査のなかった今年は、ゲンジボタルを一匹しか見られなかった。


 地方にもよるが、ゲンジボタルの発生期は5月下旬から7月上旬ぐらい。

 仕事でゲンジボタルの調査に行ったが、ゲンジボタルはほぼ終わっていて、少し遅れて発生するヘイケボタルばかりだった。そんなこともあった。

 特にゲンジボタルのような成虫の発生期の短いものは発生期の予想が難しい。



 幼虫が川の中に生息するゲンジボタルに対し、ヘイケボタルは止水域、つまり流れのない水田や湿地などに住んでいる。

 街に近いこの川沿いには公園が整備されていて、水田や湿地はないため、ヘイケボタルは見られない。


 ゲンジボタルは絶滅危惧種として扱われることが多く、各地で保護活動が実施されているが、都市に近いところではヘイケボタルの生息地の方が少なかったりする。


 だから、比較的アクセスの簡単なこの辺りでは、夏が来る前に蛍は姿を消すのである。

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