凄みのある筆力と緻密な構成( ;∀;)

僕はこの物語を読んで、随所の表現力の巧みさと配置された設定、そして筆者様の視野の広さに改めて凄みを感じました。

さて、「運」コンに向けて書かれたこの物語ですが、不遇なヒロインがいてかなりマイペースです。とても失礼な言い方だけど「天然」でした。僕は心の中で思いました。「ちょ、君! 世界を変えるんだけど、わかってる?」って。

でも、人は生きていく上で運命なんか知りません。運命を感じる時と言うのは得てして後で想う時です。それは素敵な女の子に出会えた時や、とても不幸な目にあった時で、「ああ、これは運命だ」なんて後で考えます。予兆で運命を感じるのは占い師さんだけです。

だからね、「世界を変える運命の恋」なんて求められた物語のヒロインは、自覚するのにとっても時間がかかるんです。ぽっと出会って「これが運命だ、さぁ世界を変えよう」って流石にわざとらしくて駄目でしょう? だからね、ヒロインはジャンヌ・ダルクタイプじゃない限り、ラノベとしては無自覚な天然系じゃないと成立しにくいのです。

そんなヒロインが、じわじわと運命のばらまいた多くのピースに出会って絡み合って、気がつくと一つの危機に直面しないと、物語の深みも何も出ないのです。ピンチ設定のの中にただ巻き込まれてゆくだけだと、「そんな出会いは恋じゃなくて吊り橋効果です」って僕は思ってしまうのです。

そこでこの物語です。とってもじわじわと動きます、じらされます。ヒロインは世界の運命に出会わずに、普通に僕や皆様と同じく日常に懸命です。でも心配はいりません。少しづつピースが揃って来ます。突発的な出来事も起こります。そしてどうすんだって思った時に、ああ、やっとこの筆者様がついに「物語に息吹を吹き込んだ」って思えて視界が晴れ、世界が動き始めます。

今日、僕はそう思いました。

だからね、お勧め致します。

たぶんね、ここから一気に来る、そう感じました。

皆様、宜しくお願い致します( ;∀;)

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