第9話 『フェイク』

9    


 圭介の裏切りを知ったあの日から私が計画したこと、それは……。


          ◇ ◇ ◇ ◇


 『サワタリ別れさせ屋』の専任スタッフからの報告を受けた後

さっそく本業のほう、つまりさおりを魅了して堕としてくれる

人材を頼み、小林さおりと圭介を別れさせた。



 小林さおりに現役の久木というイケメンホストをあてがった。


 久木は本業がホストでおじの所へは、アルバイトに来ている人。


 今回のような仕事には適任だ。

 彼にかかったら圭介なんてものの数じゃないだろう。


 案の定報告によると、かおりは、あっという間に久木くんに

のめり込んでいったようだ。


 あっけないものだ。


 人のものを平然と盗り、お願いもせず別れろと自分勝手なことを

言ってくるような女のことだ。


 心変わりなど、なんのことはない。



 この時圭介は自分が私に同じことをしようとしていたということに、

果たして気付いただろうか。


 そんな事気にしても今更だけれど。



 久木をさおりに仕込んでもらったのが6月。

 9月頃には圭介のヤツ、さおりにばっさりと振られていたはず。


 ほんとっ、圭介ってわかり易い男だ。


 9月に入ってから誘ってくる頻度が半端なく増えたもの。



 別れさせ屋のプロ『サワタリ別れさせ屋』流石だよ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る