一緒に寝ます♡

「じゃあ、電気消しますね〜」


 ピンクのパジャマを着たヒカリちゃん。その彼女の見慣れない服装にドキドキする。


「ま、豆電球でもいいかな?」

「はい、私も豆電球派です」


 緊張しながら2人でベッドに潜り込む。ヒカリちゃんはマイ枕をセットする。枕は荷物の中に入っていたようだ。


 1人分のベッドサイズなので、当然2人は密着する。


 向かい合って横になると、ヒカリちゃんと至近距離で目が合った。ドキリ。


「っ……」

「ふふっ、どうしました?」

「い、いや、なんでも……」


 彼女の体温を直に感じる。女の子特有の甘い匂いがふんわりと鼻腔をくすぐり、心臓が早鐘を打ちはじめた。


「夢みたいです……」


 ヒカリちゃんが優しくボクの頬を、慈しむように撫でる。まるで、ボクがそこにいることを確かめるかのように、ゆっくりと。


「病院の夜は、暗くて冷たくて寂しかったけれど、ここはとても温かいです……」

「ヒカリちゃん……」


 幸せそうに微笑む彼女をみて、ボクは思わず彼女の頭を優しく撫でた。


「よしよし……」

「な、なんですか/// いきなり……」

「嫌だったかな?」


 ボクが撫でるのをやめると「あっ……」と彼女は切なそうな顔をした。


「い、いえ……気持ちよくて安心します。もっと撫でてくれても……いいんですよ?」

「はいはい」

「はいがひとつ余計ですよぉ……」

「はーい」

「ふふっ、よろしい♪」


 子猫のように気持ちよさそうに撫でられるヒカリちゃんだったが、その内、物欲しそうにこちらを見つめてきた。


「どうしたの、ヒカリちゃん?」

「あの……おやすみのチュウが欲しい……です」


 昼間とは打って変わって、しおらしい彼女にドキリとする。


「うん……じゃあ」

「はい……」


 彼女は目をつむり、その時を待っているようだ。


 ボクはその綺麗な小顔にゆっくりと近づき、優しい口付けをした。


「ちゅっ……」


 うん、上手くキスができた。

 

「もっと……」

「──え?」

「もっと欲しい……ですぅ」

「んっ!?」


 いきなりヒカリちゃんに唇を奪われる。


「んっ……はむっ……ちゃお……ちゅる……」

「ぷはっ! ヒ、ヒカリちゃん、もう満足した?」

「うん……ナギサ君大好きだよ……」


 ヒカリちゃんが優しく抱きしめてきた。


「──っ!」


 身体が触れ合い、彼女のたわわな胸の感触がダイレクトに肌に伝わる。


「わわっ……」

「もう離さないでね……?」


 今まで寂しかった分を取り戻すかのような抱擁。その行為に、ボクは強く抱きしめることで応えた。


「うん、もう離れないよ……」


 十数年間の空白を埋めるかのように、強く、強く、抱きしめた。


 ヒカリちゃんはそれに安心したのか、横になってゆっくりと目を閉じる。


 その後、ヒカリちゃんから、スースーという寝息が聞こえてきた。


「……寝ちゃったのかな?」


 今日はいろいろあって、彼女も疲れたのだろう。


「ふぅ、じゃあボクはリビングのソファで寝ようかな……。ここじゃあ、ドキドキして眠れそうにないや」


 ボクが彼女を起こさないに、そろりと起きようとすると、ガシっと手を強く掴まれた。


「ヒ、ヒカリちゃん?」

「ずっと一緒ですよ……zzz」


 どうやら彼女は、無意識にボクの手を捕まえたようだ。まるで、もう離さないと言わんばかりに。


 そしてボクの顔を、そのふくよかな胸の中にうずめた。


「わわっ!」

「ナギサ君……しゅきぃzzz」


 ポフっとした、柔らかい感触と甘い匂いに包まれる。


「……どうしよう。気持ち良さそうに寝てるのに、起こすのは気が引けるし……」


 ね、眠れる気がしない。ううっ、仕方ないから羊でも数えよう……かな。


 ひ、ひつじが1匹……。ひつじが2匹……。





「むにゃむにゃ、おはようございます、ナギサ君……」


 ヒカリちゃんが起きて、ボクに朝の挨拶をする。


「ジンギスカンが……1万3082g……」

「何を美味しそうにカウントしてるんですか?」

「いや……なんでも……あはは……」

「?」


 徹夜明けで変なテンションになったボクでした……。



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