第十二話 浅瀬船中学校⑥
菅原はそういうやつなので。
用務員室だけではなく浅瀬船中学校校舎全体を大量の水で押し流した。
もちろん僕も、遠藤侑帆も、市岡凛子さんも。
たくさんの真っ白い狐は、菅原が吐き出す黒い水の中にかき消えた。
市岡凛子さんが笑いながら言うのが聞こえた。
「うちの狐は水を渡れないなんて、言わなきゃ良かった!」
でも僕はそれ、ついさっきの会話なのに忘れていたんだよ。
本当に。
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