白髪探偵 殺人城への招待状

オウルマン

プロローグ

 よく月を見上げていた。雲が無い夜に満月が見えると、自分の人生の始まりに触れるような気がした。それに人生が大きく動いた日は、不思議なことに満月の日が多い。

 あの日も月が最も大きな光で私を見下ろす満月の日だった。きっと周期的に訪れる満月に、多くの人は大して気にも留めないのだろう。けれど私は違う。何かが起きるのかもと夜空を見上げる。

 私は後になって知った。あの夜は月が私を見上げていた事に。

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